学生時代、三浦綾子さんの本は何冊も読んだものです。
特に、氷点や塩狩峠など
題材や切り口に驚いたものです。
そのため講演で、旭川に呼ばれた際も
迷わず、三浦綾子記念館に立ち寄ったものです。
今回は、お知り合いから
“夕あり朝あり”を紹介されました。
この本は、日本で最初のドライクリーニングを手掛けた、
白洋舎の創設者、五十嵐健治氏の生涯を、
三浦綾子さんが、自分語りの伝記としてまとめた一冊。
もともとは、五十嵐氏と知己を得た三浦綾子さんが、
生前、肺結核と脊椎カリエスを病んで療養してた時に
許可を得て書き始めたもののようです。
本の中から紹介します
1) 女というものは温かいものなんですなあ。一見つまらぬそのお喋りが、家庭にとってどんなに重要なものか、それがわかるのは、それを失ってからなのですなあ
2) 明治の頃の洗濯業というのは、残念ながら世間から評価をされていなかった。川柳にも、“洗濯屋近所の垢で飯を食い”
3) みんながやりたいと思う仕事よりも、むしろ遠ざけるような仕事をしてみようと思った
4) 私は元来楽天家というのでしょうか、不可能を想像するより、可能を想像する。もう成功したような心地で、地にも足もつかずに帰ったのです。
5) 「物事が思うようにかない」ということは、実は人生の中にあって、必ずしも悪いことではないのですな。
6) 経営のみならず、技術の面においても慎重さと謙虚さを与えられるように祈り求めた。
7) 独占ということは、いずれの面でもあまりいいことではありません。競争者があって、初めて教えられるところが多いのです。
8) 責任を取るということは、死ぬということとは別ですな。与えられた命を充分に生きてこそ、本当の意味で責任を取ることになる。
感動のあまり、一気読みでした。お勧めです。