先日、北康利さんの『最強のふたり』を読みました。北さんの本は、『白洲次郎 占領を背負った男』 『陰徳を積む 銀行王・安田善次郎伝』なども読んでいましたので、発売前に予約しての購入でした。400ページを超える大作でしたが、一気読みです。お酒の弱い自分ですが、何となくウイスキーを飲みながらの読書となりました。印象に残ったフレーズをご紹介します。
1) 開高は佐治を必要としたが、佐治も開高を必要とした
2) 陰気なリーダには求心力は生まれない
3) ビール事業は生産ラインのオートメメーション化により、日本酒やウイスキーづくりのような職人的世界とは一線を
画した
4) 細心に細心をかさね、起こり得るいっさいの事態を想像しておけ。しかし、最後には踏みきれ。賭けろ。賭けるな
ら大きく賭けろ。賭けたらひるむな。徹底的にくいさがってはなすな。鳥井伸治郎の慣用句“やってみなはれ”には
そういうひびきがあった
5) 今の日本には、一つの対応のビールしかない。比較の精神のないとこに文化は育たん!
6) 販売網の弱いサントリーには失うものがない。街角においた自動販売機は即席の特約店になってくれた。ビジネ
スには、弱みが一転して強みになる瞬間がある
7) 薬種問屋は、『薬九層倍』(薬の売値は原価の9倍だという意味)という言葉があるほど利の厚い商売である
8) 成功者にありがちなことだが、並はずれた艶福家であった。『女遊びなんか道楽のうちに入りませんわ』というの
が口癖であった。
9) 『“社長”ちゅうのは三菱や住友さんのような大会社に使う言葉や。わしのことは“大将”と呼べ』
10) ”経営の神様“松下幸之助が出てくるまでは、関西の出世頭として”今太閤“の名をほしいままにしていた小林
一三は仰ぎ見る存在であり、赤玉楽劇座の設立には、そんな小林にあやかりたいという思いが込められていた。
11) 宣伝部員の面々は、プロでなく素人、大家でなく無名、従順でなく叛骨、縦でも横でもなく斜め、そんなギラギラ
した原石が集まって、やりたい放題し始めた
12) “なんでも金やった。わてはそういうところが厭やった”という古参社員の言葉
13) フェスティナ・レンテを開高は、“急がば回れ”といった月並みな言葉でなく『悠々として急げ』と訳した
14) 敬三はしばしば、『健全な赤字もある』という言葉でそれを示した
15) オーナー経営者が最も自由な判断をしている
16) 文化を伝承してこそ企業は生き延びる
17) サントリーホールは『世界一響きの美しいコンサート専用ホール』を基本コンセプトに残響時間にこだわるので
なく、音色のきれいな心休まるホールを目指そうとした。ホールにはパイプオルガンが備え付けられた。ホール
の壁に使われたのは、ウイスキー樽と同じオーク材にこだわり、女性のトイレの数にも意を用いた。
18) 『醒めよ、諸君。敵は己にあり。過去数十年の栄光に慣れきって安逸をむさぼる夢から、醒めよ。驕りを捨て、
甘えを排し、今こそ商いの原点に経ちかえろう“』
19) 世の中の長命企業共通点は、創業から長い時間が経っても、社内に起業家精神が横溢していることである。
サントリーがまさにそうであった。
20) 『どうです佐治はん、私(開高)とあんたが組んだ仕事はことごとく大成功でっせ!』