医師であれば、マスコミで流されている「〇〇を飲むと体に良い」、「〇〇をすると長生きできる」というフレーズはエビデンス的に問題があることは分かっています。しかし、エビデンスに基づいた話をしてもマスコミは取り上げてくれません。そんな中、林英恵さんの「健康になる技術大全」は正々堂々と正しい話をしてくれています。是非ともこういった本が売れてほしいものです。
- 健康になる技術とは、健康でいるために必要なことを実践するスキルです。
- 江戸時代、福岡藩の学者 貝原益軒 の著書で大ベストセラーになった『 養生訓』において、人が幸せに長生きするためには「術」が必要であり、健康の習慣は実践して初めて役に立つと説きました。
- 病気の予防においても、エビデンスに基づいた戦略が重要 です。これを1つの柱として研究するのが、「公衆衛生(パブリックヘルス)」
- 健康になるには、特定のことだけを行うのではなく、総合力が重要
- 科学の世界は、私たちが思うほど白黒はっきりしていない
- 本当の意味でピンピンと最後まで自立して元気に生活できるのは、日本人の男性は平均で約 73歳、女性は約 75歳。そのあとは、自立できない状態で最後の約10年を過ごす
- 日本人の死因リスクトップ 10 を整理すると、ピロリ菌とC型肝炎ウイルスを除いて、そのほとんどが、 たばこ、食事、運動、アルコール、ストレス に関連するもの
- 健康とは単なる病気がない状態のことではない
- 具体的には、健康的な食生活、定期的な運動、健康的な体重、ほどほどの量のアルコール、たばこを吸わないことです。 その結果、この 5つを守れている人は、調査対象のたった8% しかいません
- アメリカの研究では、医療が健康に影響を与える割合は 10%
- 睡眠不足や、ストレスがあると、決断力や意志の力を鈍らせ、習慣づくりに重要なセルフコントロール(自制心) に影響を与える
- さらに ストレスを感じる時、塩・油・砂糖の味が欲しくなる
- 日本人の食生活の懸念すべき点として塩分摂取量が多い、野菜摂取量が少ない
- 特に アジア人において、白米の摂取量が高いほど糖尿病のリスクが高い
- 野菜や果物を摂取している人ほど、死亡率が低くなる傾向
- 色とりどりの野菜や果物は、五大栄養素と呼ばれる5つの代表的な栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・無機質) とは別に、植物として特徴的な成分があります。「ファイトケミカル(phytochemical)」 と呼ばれるものです。ファイトケミカルを含めると、実際の栄養の価値は、私たちが想像する以上
- 米国の研究からバナナやマスクメロンは、摂取量が多いと糖尿病のリスクが高いと報告されています(* 37)。一方で、 ブルーベリーやイチゴなどのベリー類や、グレープやレーズン、りんごを食べる人ほど、逆に糖尿病のリスクが低い
- 子どもの野菜摂取を増やす戦略についても紹介したいと思います。アメリカやイギリスの研究によると、「野菜を自分で育ててみる経験をすると良い」
- がんの国際的な研究機関WCRF(World Cancer Research Fund)は、 赤肉は多くても、料理後の重さで1週間に350〜500g以上は食べないこと、また 加工肉は、食べるとしたらほん少しだけにとどめること
- 赤肉や加工肉を減らしつつ、たんぱく質の摂取を意識したい場合には、 動物性たんぱく質であれば鶏肉・魚・卵を考えるのが良い
- 牛乳と乳製品に特徴的なのは、病気の予防の観点で見ると、摂取している人ほどリスクが高くなる疾患、低くなる疾患がある
- 糖尿病に関しては、乳製品、特にヨーグルトやチーズの摂取が多い人ほど、糖尿病のリスクが低いという関連が報告されています
- 不飽和脂肪酸に関しては、 摂取が多い人ほど様々な病気のリスクが低い傾向 があります。
- 自分で料理をする人の場合、 健康に良いといわれる不飽和脂肪酸のあぶらをデフォルトにしましょう。私は、料理によって 菜種油・ごま油(主に和食や中華系・アジア系の料理)・オリーブオイル(洋食・イタリア系の料理) を使い分けている
- 厚生労働省は高血圧、脳出血、乳がんなどとアルコールの関係は直線型
- 健康のために必要なものを3つ挙げなさいと言われたら、 食べること、動くこと、そして、ストレスの予防や対応を含め、きちんと休む