『男と女』から 『愛アムール』へ

2014-04-04

2012年製作の『愛、アムール』をDVDで観ました。あらすじは、“長年にわたって連れ添ってきた老夫婦が、妻の病を発端に次々と押し寄せる試練に向き合い、その果てにある決断をする姿を映し出す。”です。妻の病が、私が専門とする分野ですので、病状が手に取るように理解できました。

最初に、TIA(一過性の脳虚血発作)を発症、通常この段階で受診できれば手術等で完全に予防できるのですが、手術の失敗で右完全片麻痺が残ってしまいます。優位半球の完全麻痺ですので失語が伴うことが多いのですが、映画の進行ためか言語機能は残っていました。

この状態で自宅での生活は大変です。介護ベッドが搬入されていましたが、週3回の看護婦と2週間に1回の訪問診療以外は、すべて夫に負担です。移動、トイレ、入浴すべてに介助を要するのです。病気の進行に伴って、妻が尿失禁をしてしまう段階では、介護負担もピークになります。リハビリも夫が動かす程度ですから、さらに日常生活動作は悪化してベッド上の生活が主体となります。この段階では嚥下障害、拒食、せん妄も出現し、夫も思わず妻に暴力を振るってしまいます。そしてついには、夫は妻を・・・という結末です。

日本の介護保険制度であれば、この程度の介護度であれば在宅生活は比較的簡単です。週に3-4回はデイサービス、月に1-2週はショートを使うことで介護者の負担を減らします。自宅にいる日には週2回はリハビリを提供します。こうすると、日常生活動作も維持され在宅生活が継続できます。フランスより日本の介護保険制度の方が進んでいると感じました。


長谷川嘉哉監修の「ブレイングボード®︎」 これ1台で4種類の効果的な運動 詳しくはこちら



当ブログの更新情報を毎週配信 長谷川嘉哉のメールマガジン登録者募集中 詳しくはこちら


ちなみに、夫を演じるジャン=ルイ・トランティニャンは1966年に 誰でも知ってる曲 『ダバダバダ…』で有名な「男と女」で一躍有名になりました。1986年には20年振りの続編となった「男と女Ⅱ」で再びアヌーク・エーメと共演して話題になった男優さんです。36歳で『男と女』、56歳で『男と女Ⅱ』、そして今回82歳で『愛、アムール』。まさに年齢に応じた演技をされていることに感心をしました。

 

長谷川嘉哉監修シリーズ