【お薦め本の紹介】習い事や家族旅行は贅沢?『体験格差』

【お薦め本の紹介】習い事や家族旅行は贅沢?『体験格差』

現実の世界では、17歳以下の相対的貧困率は 11・5%と増えているようです。事情が分かっていない立場で言うのもなんですが、貧困家庭の働き手の多くは非正規雇用です。なぜ介護業界への転職を考えないでしょうか? 無資格でも正規雇用の募集が溢れていますし、世の中がリーマンショックのような不景気でも賞与をはらえた実績もあるのですから・・

  • 私たちが暮らす日本社会には、様々なスポーツや文化的な活動、休日の旅行や楽しいアクティビティなど、子どもの成長に大きな影響を与え得る多種多様な「体験」を、「したいと思えば自由にできる(させてもらえる) 子どもたち」 と、「したいと思ってもできない(させてもらえない) 子どもたち」 がいる。そこには明らかに大きな「格差」がある。
  • その格差は、直接的には「生まれ」に、特に親の経済的な状況に関係している。
  • 「体験」は子どもの社会情動的スキル(非認知能力) にも関係するとされている。つまり、子どもたちへの短期的な影響(楽しさ) だけでなく、かれらの将来に対する長期的な影響もある。
  • 貧困とは「選択肢がない」ということです。私は、子どもの貧困問題の中心にあるのが、体験格差だと思っています。
  • 子どもたちにとっての想像力の幅、人間にとっての選択肢の幅は、大なり小なり過去の「体験」の影響を受けている。
  • 小4までは「学習」より「体験」
  • 「相対的貧困」のライン(可処分所得) は世帯人数によって異なり、2人世帯で179万円以下、3人世帯で219万円以下、4人世帯で254万円以下が、相対的貧困とされる。これらの可処分所得を世帯年収に換算すると、200万~300万円前後となり、世帯年収が「300万円未満」
  • 最新の調査によると、子どもの相対的貧困率( 17 歳以下、2022年) は 11・5%で、約208万人の子どもたちがこれに該当する。
  • 「体験ゼロ」とは、私たちが調査の項目に含めた様々な学校外の体験が、直近1年間で「一つもない」ことを意味する。要するに、スポーツ系や文化系の習い事への参加もなければ、家族の旅行や地域のお祭りなどへの参加も含めて「何もない」ということだ。お金を払わなければ参加できないものが多いが、無料で参加できるものも含まれる。
  • こうした「体験ゼロ」の子どもたちは、調査の結果、全体のおよそ 15%を占めることがわかった。
  • 世帯年収が600万円以上の家庭だと「体験ゼロ」が 11・3%であるのに対し、300万円未満の家庭では 29・9%となった。つまり、2・6倍以上もの格差だ。
  • 人気の水泳と音楽で生じる格差
  • 世帯年収による参加率の格差が最も大きく現れているのもまた水泳である。世帯年収600万円以上の家庭では子どものおよそ3人に1人( 32・7%) が水泳に通っているのに対し、300万円未満の家庭では 14・8%にとどまる。2・2倍もの格差だ。
  • 世帯年収600万円以上の家庭では 17・5%が何らかの音楽の「体験」に参加しているのに対して、300万円未満の家庭では7・5%にとどまっている。2・3倍の格差だ。
  • 自然体験も居住地よりお金
  • かつての「楽しい思い出」が、つらいことに直面したときに心の支えとなることがある。
  • 親自身が「体験ゼロ」の場合は子どもも「体験ゼロ」である割合が5割を超える( 50・4%) のに対し、親が何らかの体験をしていた場合は子どもの「体験ゼロ」が1割強( 13・4%) にとどまることがわかった
  • 世帯年収300万円未満の家庭のうち、子どもの「体験」のために「無理をする」家庭が約7割、「あきらめる」家庭が約1割、「求めない」家庭が約2割ということになる。
  • 経済的に厳しいひとり親は、まず真っ先に自分の食事を減らす
  • すべての子どもにとって「体験」は必需品であり、贅沢品ではない。だからこそ、体験格差は子ども自身や親、家庭の力へと放置されるべきではなく、社会全体で抗う必要がある。
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