特別養護老人ホーム(以下特養)、老人保健施設(以下老健)、療養型病床群、サービス付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者賃貸住宅(以下サ高賃)。これらはいずれも、自宅での介護が困難になった際に、入所する施設の名称です。これらの違いが理解できるでしょうか?それぞれの施設には特徴があり、入所される方の状態により選択する必要があります。しかし現実には、老人【お金の払える】の奪い合いになっており、それぞれの施設の特徴がなくなってきています。
重度要介護者を見るべき特養に介護度が軽い人が入所したり、本来住宅である“サ高賃”に医療度の高い人が入所したりしているのです。家族は、『早く、どこかに入所させたい』、ケアマネや相談員は、『どこでも入所させてくれるところを探す』という悪循環になっています。
ここで、改めて介護とは何か?を考えてみましょう。介護とは、身体介護と認知症介護に分けることができます。身体介護では、トイレ、入浴、歩行、食事の自立が重要になります。認知症介護は、記憶障害でとどまっているか、幻覚・妄想・易怒性といった周辺症状の有無が重要となります。そのため身体介護と認知症介護が両方存在すると、介護度は重くなりますし、とても手がかかります。実は、どこの施設も老人を取り合っていますが、手のかかる人は診たくないのが実情です。多くの施設は乱立しても、本当に診てほしい人が入居する場所は限られているのです。
このような状況下でも相談するケアマネや相談員によって運命は変わります。優秀な方は、前もって予想できる介護状態に対する準備をします。逆に能力のない方は、起こってしまった状況で大騒ぎです。
さらに、ご家族自身の勉強も大事です。困った状況で、『介護施設のことは何もわからないので、何とかして下さい』と相談される方もあります。自分は、『身内を入所させるのです。最低限のことは、家族自身でも勉強して動いてください』と伝えます。なんでも人任せではいけません。他人が、子供以上に親のことを考えてくれる甘い世の中ではありません。