前頭葉機能低下を予防する鼻うがいはコロナウイルス感染症にも有効?

前頭葉機能低下を予防する鼻うがいはコロナウイルス感染症にも有効?

新型コロナウイルスが中国で猛威を振るっています。このウイルスについてはまだよくわかっていませんが、感染防止が重要なことは間違いないようです。

私は、ある方からの強い勧めで鼻うがいを始めました。最初は、鼻に液体を入れることに抵抗を感じましたが、結論としては、心地よさから病みつきです。毎日、朝夕2回行っています。とても鼻の通りがよくなり、自然に鼻呼吸が実践できます。

特に花粉症の季節では、鼻が詰まるのか、口を開けて口呼吸をしている方をよく見かけます。実は口呼吸は、前頭葉機能を低下させるリスクであり、認知症の一因にもなります。

口呼吸の害を考えると、鼻の通りが良くなる鼻うがいは認知症予防につながる可能性もあるのです。今回の記事では、鼻うがいのメリットと正しい方法についてご紹介します。

目次

1.鼻うがいとは?

「鼻うがい」とは、鼻の中を、まさにうがいのように洗い流す方法で、鼻をかんでも出にくい粘り気のある鼻水や、花粉、ハウスダストなどのアレルギー物質を取りのぞく効果があるといわれています。のどをガラガラさせるうがいとはイメージが異なります。

female business woman sneezing during conference
アレルギー物質の除去に効果があります

2.鼻うがいのメリット

鼻うがいには以下のような、メリットがあります。

2-1.鼻呼吸が安定する

前述の効果のおかげで、鼻の通りがよくなります。その結果自然に鼻呼吸が安定します。

2-2.風邪を引きにくくなる

普通に行う、「のどのうがい」では風邪予防には十分とはいえません。風邪のウイルスが付着しやすいのは、鼻の奥のといわれる部分ですが、「のどのうがい」では上咽頭を洗い流すことができません。一方、鼻うがいでは上咽頭までしっかりと洗い流すことができ、より効果的な風邪予防になるといえます。

上咽頭の位置
上咽頭は鼻腔の奥にあり、通常のうがいでは洗うことができません

2-3.花粉症や黄砂などのアレルギー対策

花粉や黄砂は多くの場合、鼻の粘膜に付着するので、特に「鼻うがい」が効果的です。上咽頭に付着した花粉やホコリなどを洗い流すことで、アレルギーの原因を取り除くことができます。特に花粉の季節には、黄砂も混じっています。黄砂の影響を受ける方には特に鼻うがいはお勧めです。黄砂については以下の記事も参考になさってください。

https://brain-gr.com/tokinaika_clinic/blog/health/yellow-sand-and-hay-fever/

3.口呼吸が脳に与える悪い影響

「口呼吸は鼻呼吸よりも、前頭葉により酸素消費を生じる」という報告がされています。(佐野 真弘ら https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24169579)。この研究では、最新のベクトル脳機能NIRS計測法を使って、近赤外線を頭皮上から照射し脳の酸素活動を計測。その結果、口呼吸では前頭葉の活動が休まらず、慢性的な疲労状態に陥りやすくなることが明らかになりました。前頭葉の慢性的な疲労状態により、注意力が低下し、学習能力や仕事の効率の低下を引き起こすのです。

通常、認知症における脳の機能は、前頭葉機能の低下から始まり、側頭葉機能の低下に発展します。つまり、口呼吸が慢性化すると、前頭葉機能の低下を介して、認知症の発症にまでつながるといえるのです。


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4.鼻うがいの方法

鼻うがいは、冷たい水で行うと鼻がツーンとして痛みを感じてしまいます。これは体液と水の浸透圧が違うために起こります。そのため鼻うがいでは、体液と同じ浸透圧である、0.9%の食塩水を使って行います。温度は、人間の体温と同じか少し温かい36~38℃程にしたぬるま湯を使います。

*0.9%食塩水の作り方:1リットルのぬるま湯に対し、9gの食塩を入れて溶かします。(500ccなら4.5g、2リットルなら18g)

4-1.洗面器の食塩水を吸い込む方法

  • 洗面器に2リットルの0.9%食塩水を入れます。
  • 片方の鼻の穴を指で押さえながら、洗面器の食塩水に顔を近づけて、もう片方の鼻の穴から食塩水を吸い込みます。このとき食塩水を飲み込まないようにします。
  • 洗面器から顔をはずして、吸った鼻の穴から食塩水を出します。慣れてきたら、もう片方の鼻の穴や口から食塩水を出してみましょう。

4-2.ストローで食塩水を吸い込む

  • コップなどに500ccの9%食塩水を入れて、ストローをさします。
  • 片方の鼻の穴を指で押さえながら、もう片方の鼻の穴からストローで食塩水を吸い込みます。このとき食塩水を飲み込まないようにします。
  • ストローから鼻をはずして、吸った鼻の穴から食塩水を出します。慣れてきたら、もう片方の鼻の穴や口から食塩水を出します。

4-3.専用の器具がお勧め

洗面器から吸い込んだり、ストローで吸い込む方法は躊躇するものです。また、中途半端に行うと、鼻の奥にうがい液が残ってしまい、中耳炎を起こすこともあります。そのため、ご紹介する器具をつかった「鼻うがい」をお勧めします。40度前後のぬるま湯で、付属したうがい液で行うと、鼻のツンとした感じも殆どありません。終わった後の爽快感が病みつきになり、朝と夕の1日2回楽しみながら行っています。

ちなみにご紹介するハナクリーンαのメリットをご紹介します。

  • 水を貯めるところに温度計がついているため適正温度の設定が簡単
  • 付属に食塩がついているので、これを300㎖に溶かせば、0.9%の食塩水が出来上がります。
  • 自ら吸い込まなくても、ボタンを押せば、自然に一定の力で鼻の中が洗浄されます。
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5.鼻うがいの認知症予防への可能性

鼻うがいには、鼻呼吸の効果だけでなく、「心地よさ」の点からも認知症予防の可能性があります。

実は、認知症の脳を調べると、記憶を司る海馬より、感情を司る扁桃核が先に委縮することが知られています。それを避けるには、五感すべてに刺激を入れ、感情豊かな生活を送り扁桃核に刺激を与え続けることなのです。

そのため何よりも大事なことは、「心地良いか否か」です。最近の風潮は、医学的エビデンスにこだわりすぎているように思えます。医学的エビデンスにこだわりすぎずに、感情に素直になって「自分にとって心地良いか否か」で判断されることをお勧めします。そんな、鼻うがいを試してみてはいかがでしょうか?

6.鼻うがいの注意

お勧めの鼻うがいですが、以下の点に注意してください。

6-1.鼻に食塩水を入れるときは、大きく上を向かない

鼻に食塩水を入れた後、大きく上を向くと食塩水が耳に入り中耳炎になる恐れがあります。前かがみの状態で、顔はあまり上に向けないようにしましょう。

6-2.鼻で水を吸い込んでいるときに、口でつばを飲み込まない

水を吸い込んでいるときに、つばや洗浄液を飲み込もうとすると、耳に洗浄液が入る恐れがあります。

6-3.やりすぎない

鼻うがいに慣れてくるとスッキリして気持ちがいいのですが、1日1~2回程度にしましょう。(1回は200-300ml程度で十分です)

6-4.調子が悪ければやめる

鼻うがいを行うことでかえって、体調、とくに鼻や耳の症状が悪化した場合は、中止ししょう。

7.まとめ

  • 鼻うがいは、風邪やアレルギー疾患に効果があります。
  • 鼻呼吸が安定する点からは、認知症予防につながる可能性もあります。
  • 鼻呼吸の方法は、機械を使う方法が最も安全で効果的です。
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