帯状疱疹ワクチンで認知症予防?注目のスタンフォード大学研究と最新の日本の動き

帯状疱疹ワクチンで認知症予防?注目のスタンフォード大学研究と最新の日本の動き

2025年4月より、帯状疱疹ワクチンの一部公費負担による定期接種が始まります。こうした動きの中で、帯状疱疹ワクチンが認知症予防に効果をもたらす可能性があるとの報告も出てきました。一部には科学的にも理にかなっている点があり、注目されています。そのため、帯状疱疹の予防だけでなく、将来的な認知症予防の可能性にも期待して、ワクチン接種を検討されることをおすすめいたします。今回は、認知症専門医の立場から、帯状疱疹ワクチンについて解説します。

目次 [非表示]

1.ワクチンが認知症予防になるかもしれない?

高齢化が進む現代社会において、認知症は多くの人にとって避けたい病気の一つです。そんな中、アメリカのスタンフォード大学の研究チームが、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症リスクの低下につながる可能性があると発表し、世界的に注目を集めています。

2.スタンフォード大学:28万人を7年間追跡

この研究では、イギリス・ウェールズにおける79歳の高齢者約28万人を対象に、2013年から開始された帯状疱疹の生ワクチン接種プログラムの効果を分析。7年間の追跡調査の結果、接種を受けた人は未接種者と比べて認知症の発症リスクが20%も低下していたのです。特に女性においてその効果は顕著でした。

比較設計の妙:自然な「接種群」と「非接種群」

当時79歳の人は接種の機会があった一方で、80歳に達していた人は制度上ほとんど接種できないという「自然な分かれ目」が存在したため、教育水準や健康状態に大きな差がなく、ワクチンの影響を評価しやすい設計だった点もこの研究の注目ポイントです。

3.なぜ帯状疱疹ワクチンが認知症予防に?

帯状疱疹は、水ぼうそうウイルス(VZV)の再活性化によって発症し、神経に炎症を起こすことで知られています。研究チームは、この炎症が脳の慢性的なダメージを引き起こし、認知症の引き金となる可能性を指摘。ワクチン接種によりVZVの活動を抑えることで、脳の負担が軽減され、結果として認知症リスクが下がるのではと考えられています。

4.定期接種がスタート!2025年4月から一部公費助成

2025年4月から、日本でも帯状疱疹ワクチンが定期接種として公費助成の対象になりました。以下のような方が対象です:

  • 2025年度に65歳を迎える方
  • 60〜64歳で免疫機能に著しい障害がある方
  • 2025〜2029年度に70・75・80歳など節目の年齢になる方(経過措置)

ワクチンの種類と費用

現在日本で使われている帯状疱疹ワクチンは2種類あります:


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  • 生ワクチン(1回接種):効果は約50%、費用は約4,000円(神戸市の例)。免疫力が低い人には推奨されません。
  • 組換えワクチン(2回接種):効果は90%以上、費用は約20,000円(同)。より高い予防効果が期待されます。

5.組換えワクチンのススメ

せっかく接種するなら、より効果が高く長く持続する組換えワクチン(商品名:シングリックス)がおすすめです。免疫力の低下した高齢者でも接種可能で、帯状疱疹だけでなく帯状疱疹後神経痛などの後遺症予防にも有効です。

6.まだ相関関係、今後の研究に期待

ただし、今回の研究で明らかになったのは「ワクチン接種と認知症リスクの相関関係」であり、「ワクチンが直接的に認知症を防ぐ」という因果関係はまだ証明されていません。今後は他国での検証やメカニズムの解明が期待されます。

7.まとめ:ワクチンが拓く“予防医療”の未来

帯状疱疹ワクチンが認知症リスクを低下させる可能性は、感染症予防を超えた新たな医療の可能性を示しています。認知症治療が限られる今、「予防」というアプローチは希望そのもの。ワクチン助成制度も始まった今、自分自身や家族の将来のために、接種を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?

 

 

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