薬の管理のためにも、処方時には一包化をお勧めする理由【高齢者医療専門医が解説】

薬の管理のためにも、処方時には一包化をお勧めする理由【高齢者医療専門医が解説】

通常、医師から処方された薬は、種類ごとにシートで渡されます。1〜2種類であれば、問題なく服薬できますが、種類が増えたり、1日1回の薬や1日3回の薬が混ざってくると、結構大変な作業になります。その結果、薬によって余ったり、足りなくなったりすることがあります。

そんな時に、便利なものが薬の「一包化」です。「一包化」は患者さんの服薬の手間を減らし、飲み忘れを減らすことができる素晴らしい方法です。今回の記事では、高齢者医療専門医の長谷川が、医師から薬を処方される際に「一包化」をお勧めする理由をご紹介します。

目次

1.一包化とは?

一包化とは、読み方は、「いっぽうか」です。一包化とは、数種類の薬を、服薬時間毎にまとめて一袋にすることです。例えば、Aという薬は1日3回毎食後、Bという薬は1日2回朝と夕食後、Cという薬は1日1回朝食後に服用するとします。そうすると、朝食後には、A、B、Cのそれぞれのシートから、昼食後は、Aのシートから、夕食後は、AとCのシートから自分で取り出して服薬しなければいけません。そのため、多くの患者さんで飲み間違えが日常的に起きてしまいます。

そこで、「一包化」をすると、朝食後はA、B、Cが入った一つの袋を、昼食後はBが入った一つの袋を、夕食後はAとCがが入った一つの袋を飲むだけで良いのです。ただし、「一包化」は患者さんが希望したり、医師が必要と判断しない限りは、行われることはないので注意が必要です。

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薬の管理は本人にとっても介護者にとっても大変です

2.一包化のメリット

「一包化」には以下のようなメリットがあります。

2-1.飲む際の手間が減る

年を取ると、シートから薬を取り出すような細かい作業が苦手になります。時間もかかり、せっかく取り出したと思ったら、床に落としてしまうことも増えてきます。そんな作業を服薬する薬毎に行うことはかなり手間です。その点、「一包化」すれば、1回の服薬時間に一つの袋を開けるだけなので、とても助かるのです。

2-2.飲み間違いが減る

患者さんに数種類の薬を処方すると、薬によって余ったり、足りなくなってしまうことが良くあります。つまり、患者さんは、薬によって飲みすぎたり、飲み忘れたりといった「飲み間違い」をしているのです。「一包化」をすれば、飲むことさえ忘れなければ、飲み間違いはなくなるのです。

2-3.服薬管理がしやすい

患者さん自身が、服薬管理ができなくなっても、家族も服薬状況が分かりやすくなります。例えば、カレンダーに貼っておけば、飲んだのか否かが把握できます。最近は、服薬カレンダーも市販されていますので、「一包化」と合わせて使用すると効果は抜群です。

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お薬カレンダーの一例(Amazon紹介ページ

3.一包化にはデメリットも

メリットだらけの「一包化」ですが、デメリットもあります。

3-1.じゃっかんの費用がかかる

医師が、「一包化」を指示した場合は、「一包化加算」という費用が発生します。例えば、28日分の薬を一包化するのにかかる料金は1280円です。1割負担であれば120円、3割負担でも380円です。医師としては、メリットの大きさを考えると、ご負担をお願いしたいものです。


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3-2.一方化できない薬もある

「一包化」の際には、一度シートから薬を取り出して、袋に入れるため、湿気に弱い薬や遮光が必要な薬は、「一包化」ができません。ただし、私の経験ではそれほど多くの種類はありません。詳細は、薬剤師さんとご相談ください。

3-3.院内処方ではできない場合も多い

院外薬局の場合は、「一包化」対応は可能です。しかし、院内薬局の医療機関の場合は、「一包化」ができないことが多いようです。今の時代は、医薬分業の時代であり、医師と薬剤師が協力して薬を処方します。受診に際しては、院外薬局である医療機関を選ぶことをお薦めします。

 4.そもそも高齢者の服薬は大変である、とは

「一包化」以前に、服薬管理はとても重要ですが、とても大変な作業であるのです。

4-1.服薬管理と認知機能は相関関係

服薬管理ができる能力と、認知症のレベルは相関関係があります。通常、認知症の側頭葉機能を評価するMMSE(Mini Mental State Examination)で、30点満点中の23点以下になると服薬管理が難しくなります。この23点というのは、認知症の初期段階と一致します。

4-2.薬が増えるスパイラルが生じる

「一包化」などをせずに、飲み忘れが増えると、血圧が下がらなかったり、血糖のコントロールが悪くなったりします。その結果、医師はさらに薬を追加。薬の種類が増えることで、さらに服薬管理ができなくなる悪循環に陥ることさえあるのです。

4-3.施設では必須と考える

私は、16件のグループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅の協力医です。そこの患者さんに対しては、ほぼ全例「一包化」をしています。施設ような多くの患者さんいる場合は、薬の管理も大変な仕事量です。「一包化」することで施設の方の負担も大幅に軽減することが可能になるのです。

5.まとめ

  • 薬を処方される場合の「一包化」は、飲み間違いが減るなどメリットがたくさんあります。
  • デメリットとして、少々の費用負担が発生しますが、メリットの方が上回ります。
  • 施設においては、「一包化」は職員の負担減のためにも必須です。
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