先回、『人間は、口から物を食べられなくなったら最期』の
実践をお勧めしました。
講演等でも
『胃瘻を増設しても長生きをしたいですか?』と
お伺いしても多くの方が、首を振られます。
ならば、そもそも胃瘻(≒経鼻胃経管栄養)はなぜ導入されるのでしょうか?
これにはいくつか理由があります。
一つは、入院日数制限です。
急性期病院で患者さんが運ばれてくると
入院は1か月以内に抑えたいものです。
ですから、じっくり嚥下リハビリを行って
経口摂取を回復する時間はありません。
そのため、胃瘻を増設して
早く退院してもらうしかないのです。
二つ目は、胃瘻を導入しないで病院で死ぬことができないからです。
病院は治療するところです。
治療しないで、亡くなることはできません。
胃瘻を作らなければ、
退院してもらうしかありません。
自宅で引きとって
看取る介護力があればよいのですが、
介護力が乏しければ、
『人間は、口から物を食べられなくなったら最期』を
実践することができないのです。
結果、家族はやむを得ず
胃瘻を導入するしかなくなるのです。
“胃瘻だけは導入して欲しくない”と
本人、家族が望んでも
医療を取り巻く事情から
やむを得ず胃瘻を導入する方も
たくさんいらっしゃるのです。