遺体 明日への十日間

先日、映画『遺体 明日への十日間』を見てきました。
東日本大震災直後の遺体安置所での出来事がテーマです。
震災で甚大な被害を受けた岩手県釜石市の遺体安置所を取材した石井光太氏のルポタージュ「遺体 震災と津波の果てに」(新潮社刊)がもとになっています。震災直後の混乱のなか、次々と運ばれてくる多くの遺体に戸惑いながらも、被災者でもある釜石市民の医師や歯科医たちが、犠牲者を一刻も早く家族と再会させてあげたいという思いから、遺体の搬送や検視、DNA採取や身元確認などのつらい作業にあたる姿が描かれていました。どうしても、視点は医師の目になってしまいます。極限状態の中で一般の方は感情を表面に出すことが許されますが、医師には許されません。どんな環境下でも、淡々と業務をこなす必要がある点は厳しい職業だと感じました。

自分自身も、医師になって1000体以上のご遺体に接してきました。現在、経営者として、厳しくそしてどこか冷静な目で取組めているのは、“いずれ最後は遺体になる”という実体験をもっているかも知れません。
個々によって、どのように感じるかは様々だと思いますが、一度ご覧になられることをお勧めする映画です。

ところで在宅医療での現場で行われている、ご遺体との関わりを書いた私の新聞記事を紹介します。


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最期の務めは死を見せること(中日新聞2009年2月7日(土)掲載)
遺体を棺に納める仕事を描いた、納棺師の映画が評判である。在宅医療に従事するものとして、一般の人が抱くご遺体に対する複雑な感情には驚いた。
在宅で死を迎えると病院で最期を迎える場合と比べ、多くの家族に見守られ安らかに亡くなられることが多い。死を宣告すると、家族も一緒に体をふいて死後処置を行い、故人がお気に入りだった服を着ていただく。女性の場合は、死に化粧も行う。結構、皆で盛り上がるものである。
お孫さんやひ孫さんがいる場合は一緒に参加していただくが、初めて死に触れる彼らの驚きが伝わってくる。人間の最期の務めは、残った人たちに自分の死を見せることだと思う。そう考えると、ご遺体に対する感情も変わってくるのではないだろうか。

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