【お薦め本の紹介】人はどう老いるのか by 久坂部羊

【お薦め本の紹介】人はどう老いるのか by 久坂部羊

私自身1000人以上の看取りをしてきた経験からも、「上手に老いている人もいれば、下手に老いて苦しんでいる人」もいらっしゃいました。そんな現実を分かりやすく解説していれる本です。そして、上手に老いるエッセンスもたっぷり紹介されています。

  • 下手に老いて苦しんでいる人は、だいたい油断している人です。浮かれた情報に乗せられ、現実を見ずに明るく気楽で前向きな言葉を信じた人たちです。
  • 上手に老いて穏やかにすごしている人は、ある種の達観を抱いています。決していつまでも元気を目指して頑張っている人ではありません。いつまでも元気にこだわると、いずれ敗北の憂き目を見るのは明らかです。
  • 心の準備が足りなかったということでしょう。「いつまでも元気で若々しく」とか、「最後まで自分らしく」などの無責任なきれい事情報に惑わされていたから、実際の老いであちこちに不具合が起こると、「なんでこんなことに」「こんなことになるとは」と、落ち込んでいたのです。
  • ふつうは病気の症状が重ければ悩みや心配も大きいはずです。それが必ずしも通用しないのが、高齢者の世界だと気づきました。
  • ふつう、腹が立ったら「アンタなんか死ね」というのが罵声となるでしょう。ところが、その場では「死ねない」というのが意地悪になっていたのです。
  • 認知症にもいろいろなタイプがあって、まわりの状況がわからなくても、いつもニコニコして機嫌のいい〝多幸型〟や、逆にイライラして怒鳴ったり、ときには暴力を振るったりする〝不機嫌型〟があります。
  • 認知症にはほかの難病などとは決定的にちがう側面があります。それは病気になったあと、病気であることを認識できないということです。わからなければ、恐れる必要も悔やむ心配もありません。
  • 認知症の介護を失敗するパターンで多いのは、家族が認知症を治したいとか、これ以上悪くしたくないと思っている場合です。
  • 認知症の心配などせず、仮に発症したとしても受け入れる気持ちで、高齢者の身内に優しく接していれば、自ずと時間は穏やかに流れます。
  • 自らの老い、苦痛、不如意を泰然と受け入れ、栄誉や利得を捨て、怒らず、威張らず、自慢せず、若者に道を譲り、己の運命に逆らわない心の余裕を持つことです。むずかしい注文ですが、むずかしいからこそ敬意を呼び覚ますのではないでしょうか。
  • おむつはずし運動・美談の弊害
  • おむつも寝たきりも防げる間は防げばいいですが、長生きをしすぎると、どうしてもそうならざるを得ないときがきます。
  • 医療も医学も必ずしも万能ではないし、当てにしすぎると裏切られることもあるということを、忘れないほうがいい
  • 実はがんで死ぬことにもよい面はあるのですが、一般にはなかなか理解されません。医者の希望する死因の一位はがんであることからもわかることです
  • 医者は立場上、がん検診を受けるよう勧めますが、自分は受けていない人が多いのです。
  • 体調に注意していれば、症状が出てから治療しても助かるがんは多いし、そもそも二人に一人ががんになるということは、二人に一人は生涯、がんにならないということで、その人にとっては、毎年受けるがん検診はすべて無駄ということになります。
  • 医療者も最後の最後まで病院で医療を受けたいと思っている人は少ないはずです。
  • 胃ろうやCVポートで引き延ばされる命は、当人にとっても家族にとっても過酷なものです。
  • あまり死に抵抗すると、無用の苦しみを強いられる危険性が高い
  • いったん死が避けられない状況になったら、よけいな医療はせずに、自然に任せるのがもっとも穏やかな最期を迎えられます。
  • 死の直前の医療行為が、本気で必要だと思っている医者がいたら、それはくちばしの黄色いヒヨコ医者か、現実を見ない空想的理想主義医者でしょう。
  • 実は今がいちばん幸福なんだと気づけば、これからどう老いるべきかということも考えずにすむでしょう。 幸福に浸っているときには、人はあれこれ考えないものですから。
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