【お薦め本の紹介】還暦から始まる by 谷川浩司、山中伸弥

【お薦め本の紹介】還暦から始まる by 谷川浩司、山中伸弥

自分自身もそろそろ還暦に手が届くようになったため思わず手に取ってしまいました。将棋および医療界のトップを行く二人の対談ですから、還暦の話以外でもためになる話が満載です。

  • 個人の健康寿命も大切ですけれど、社会の健康も大切です
  • 新幹線のチケットの座席番号を何度も取り出して確認するようになったら、歳を取った証拠
  • 経験も大切なんですが、三十歳を過ぎていくと、先ほどお話ししたように、間違いなく記憶力や集中力、頭の瞬発力が落ちてきます。
  • 将棋の瞬発力というのは──。 パッとその局面を見た瞬間の判断力、局面の認識能力、直観ですぐにいくつかの手が浮かぶかどうか
  • いまは一年前と同じ力であれば、私はプラスだというふうに考えています。若いうちは一年前と同じではダメだったんですけど、何歳かを境にして、そういうふうに変わりましたね。
  • 研究者の場合、ひらめきとか発想力、クリエイティビティといった頭の柔軟性は二十代ぐらいがピークで、あとは少しずつ確実に下がっていく一方のような気がします。
  • アイデアの不足は経験で補う。言葉は悪いけど、経験に基づいた悪知恵で想像力の低下をカバーするしかない
  • 健康寿命とは、日常的に医療や介護に頼らずに、自分がやりたいことを自分の力でできる期間のことを指します。
  • 最近、「レジリエンス」という言葉が使われるようになっていますね。「回復力」とか「復元力」と訳されますけれども、それに近い考えです。
  • が苦しんでいる病気のかなりの多くは細胞や組織の老化によって引き起こされている状態ですから、病気を本当の意味で治していくためには、いかに老化の速度を緩めるか、もしくはいかに老化で落ちた機能を戻すかということになります。
  • 医学の大きな流れはパーソナライズド・メディスン、個別化医療と言って、患者さんの体質や病気に関連している遺伝子を細かく調べたうえで、一人ひとりの体質や病気のタイプに合わせた治療です。
  • 完全にゼロに戻すというのは、ゴールが決まっているので、ある意味、楽なんです。それを途中のちょうどいいところで止めるのは、言うは易く行うは難し、
  • iPS細胞によって理論的には細胞は若返るはずですが、初期化をうまく途中で止めることができるかどうか。
  • さまざまなパーツが少しずつ下降線をたどっていって、最終的には働かなくなる。それが「天寿をまっとうした」ということで、ある意味自然なこと
  • 頭脳と肉体が同じように少しずつ下降線をたどっていって死を迎えるのが、本人にとっても周囲にとっても理想なのではないかと思います。
  • そのためには、頭脳と肉体をバランスよく鍛えることですね。
  • ネアンデルタール人のほうが体は大きく、筋肉も強くて、おそらく脳も大きかったはずです。普通は脳も体も大きかったネアンデルタール人が生き残って、ホモ・サピエンスのほうが絶滅するはずですよね。
  • 私たち人間とネアンデルタール人の違いは六十ヵ所ぐらいしかないことがわかりました。その六十ヵ所になぜホモ・サピエンスが生き残って、ネアンデルタール人は滅んだのかという秘密がある
  • 仮説としては、人間のほうがコミュニケーション能力が高かったのではないか、などと言われています。  ネアンデルタール人は二~三人の家族という単位でしか知識を伝えていかない。
  • アメリカの大規模調査では、睡眠時間が七時間の人が最も死亡率が低く、長寿だったというデータが出ています。
  • コンピューターの電力消費量とそれに伴う熱の放出量を考えると、それよりすごいことを人間の脳が少しばかりのご飯と三七度の熱でできているということは、ある意味奇跡ですよ。
  • 八十、九十でお元気な方は、かなりの確率で歯が丈夫
  • 棋士とAIの関係が「対決」だったのが、「共存」になって、棋士はAIを使いながら強くなっていくようになりました。
  • いかに脳を若く保つかという意味では、若い人とフランクに話せる環境はすごく貴重ですね。
  • オンラインが一般化したことは、コロナ禍がもたらした数少ないいいところ
  • NAT1という設計図を働かなくすると、ES細胞は増えることはできるけれども、ES細胞から脳の細胞とか神経細胞をつくりだすことができなくなる。
  • いまはもう八割はNAT1研究ですね。残りの二割で前にお話ししたiPS細胞になるプロセスを途中で止める研究です。
  • 悔しさ、反発心はAIにはなくて、人間固有のものでしょう。おそらく若さを保つためにも、そういう気持ちは持ち続けていなければいけない
  • 人生下り坂を楽しもう
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