医療保険の改訂で身長体重測定・・加齢でみんな小さくなる

医療保険の改訂で身長体重測定・・加齢でみんな小さくなる

令和6年6月の医療保険の改定に伴い、日本中の開業医で生活習慣病患者さんに対して身長体重を測定しています。正直、「なんでこんな面倒臭いことを」と思っていましたが、測定を始めると患者さんとの会話のきっかけになり、新たな気付きも得ています。測定値を伝えると、皆さん「そんなに縮んだ?」、「昔は○○㎝だった」、「お母さんそんなに痩せたの、うらやましい」などと、殆どの方が、身長も体重も患者さん自身が思っていたよりも小さく、軽くなっているようです。今回の記事では、加齢に伴いどの程度身長体重が減少するのか、そしてそれに伴っての注意すべき点についてご紹介します。

目次

1.誰もが年を取ると背が小さくなる

人は年ととともに身長が縮みます。男性・女性、人種も問わず誰でも背が低くなります。原因は、骨・筋肉・関節の加齢が原因と考えられています。

米国立老化研究所(National Institute on Aging)は、加齢と身長の縮むことに関する調査結果を、報告しています。

報告では

男女ともに30歳ごろから背が縮み始め、その速度は加齢とともに増し、特に70歳以降に加速した

といいます。さらに細かく見てみると、

男性の身長は70歳までの間に平均3cm、80歳までには平均5cm縮み、女性は70歳までの間に平均5cm、80歳までに平均8cm、縮んでいた

と報告されています。

80歳までで男性は5㎝、女性は8㎝小さくなるとは、想像以上だと思われませんか? もちろん、さらに90歳までにはさらに小さくなっていくのです。


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2.食事を摂取しているのに体重が減少する。

悪性腫瘍や糖尿病などの疾患があれば体重が減少することはやむを得ませんが、それ以外でも体重は減少します。

2-1.加齢による筋肉量の低下

高齢者は、歳を重ねるとともに筋肉量が低下します。結果、成人では体重の約40%が筋肉であるのに対し、70歳を超えた高齢者では30%以下になります。筋肉量が減るということは、消費エネルギーが減るため空腹を感じにくくなり、食事を多く摂らなくても活動できるようになります。その結果、食べる量が減り、体重減少の原因になっていることがあります。

2-2.精神的ストレスも体重減少の原因

ひとり暮らしの高齢者は食事もひとりで摂る場合が多く、食べているのに実際の食事量は少なくなり体重減少につながることもあります。また、孤独により精神的に強いストレスを感じて食事量が減ることも体重減少の原因となります。

3.生活習慣で身長の減少・体重減少に差が出る

生活習慣で低身長化・低体重化を防ぐことができます。低身長化・低体重化を予防するために、一番大切なのは、活動的な生活を送ることです。筋肉を強化するために、定期的な運動を続け、また姿勢を改善する。骨を丈夫にするためも運動は欠かせないものです。ウオーキングやジョギングなど、特に骨に繰り返し体重負荷をかける運動は、強い骨を作り、維持するのに役立ちます。もちろん、食生活も大事です。良質なたんぱく質を摂取するともに、カルシウムやビタミンDを十分に摂取する必要があります。低身長化・低体重化は、健康的な食生活と運動で、変化を遅くすることはできるのです。

4.低体重化に伴い薬の量も少なく

今回の、外来での体重測定では、40㎏以下の方も多数いらっしゃいました。通常、小児の場合、体重が40㎏を超えると、大人の同じ量の薬を処方することができます。ということは逆に高齢者の場合、体重が40㎏を切った場合は、通常の成人量の薬の量では多すぎるのです。この場合、薬の量は、成人の1/2~2/3量にする必要があります。実際、私の認知症専門外来では、メマリーは最大量の20㎎の半分の10㎎。リバスタッチパッチは最大量18㎎の半分の9㎎で効果が出る場合が多いです。

5.まとめ

  • 医療改訂に伴う、外来での身長体重測定では、低身長化・低体重化が見られます。
  • 平均で80歳までで男性は5㎝、女性は8㎝小さくなります。
  • 低身長化・低体重化は、健康的な食生活と運動で、変化を遅くするができます。
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