姿勢の悪化も脳梗塞の原因に!理由と改善法は【脳神経内科医が解説】

姿勢の悪化も脳梗塞の原因に!理由と改善法は【脳神経内科医が解説】

姿勢の悪さを気にされている方はたくさんいらっしゃいます。しかし、多くの方は、あくまで、「見た目」を気にされているのではないでしょうか? しかし、最近の研究では「姿勢の悪さが、脳梗塞のリスクになる」ことが分かってきました。今回の記事では、脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が、姿勢の悪さが脳梗塞を引き起こすリスクと、改善方法をご紹介します。

1.高齢者の前かがみは、脳梗塞の危険とは?

国立病院機構東京医療センター感覚器センター(耳鼻咽喉科学)の角田晃一医師が以下のような報告をされました。

”初診で65歳以上の172人に承諾を得て、経鼻的喉頭ファイバースコピーを行った。17人(約1割)に頚動脈の変位走行異常があり、17人すべてにMRIで無症状の脳梗塞が見つかった。脳梗塞患者の87.5%に頚動脈変位走行異常が見られた。脳梗塞でない人では、8.6%だった。
身長についても調べた。身長が3センチ以上減っている人は、脳梗塞患者の76.4%。一方、脳梗塞でない人では19.6%。また、脳梗塞患者の87.5%を「頚動脈の変位走行異常+身長3センチ減」が占めていた。脳梗塞でない人では6.75%だった。(出典:日刊ゲンダイDIGITAL)”

2.なぜ前かがみになるとなぜ脳梗塞になりやすいのか?

角田先生の報告を簡単に要約すると、「姿勢が悪くなることで首の動脈の走行異常が引き起こされ、脳梗塞を発症しやすくなる」ということです。

2-1.頭には4本の血管が通っている

脳に血液を供給する血管は4本あります。角田先生が指摘する頸動脈および椎骨動脈がそれぞれ左右にあるため全部で4本あるのです。そのうち頸動脈は、喉の左右に拍動が触れる血管です。椎骨動脈は、首の後ろ側で頸椎骨という骨の中を通っています。

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脳に血液を供給する動脈は左右2本ずつあります

2-2.頸動脈は姿勢の影響を受ける

解剖学的には、脳への血管は姿勢の影響を受けやすいのです。前かがみになると、動脈硬化が進行している頸動脈は不自然に屈曲せざるをえません。その結果、頸動脈の走行異常を介して、脳梗塞を引き起こしてしまうのです。

2-3.頸椎動脈もめまいを誘発

角田先生は、椎骨動脈には言及されていませんでしたが、脳神経内科の臨床では、椎骨動脈への圧迫がめまいの原因となることはよくあります。60歳を超えるとほぼ100%の方に頸椎の変形が見られます。椎骨動脈を頸椎を走行しているため、頸椎の変形により血流が悪くなり、首の動きをきっかけに浮遊感やめまい症状が出現するのです。起床時、夜間トイレに行ったとき、上を向いたとき、振り返ったとき、いずれも首の動きで誘発されるのです。

首の動きが、脳の血管へ影響するケースには、「椎骨動脈乖離」があります。椎骨動脈乖離は、ゴルフのスイングや、首をゴキゴキと動かすカイロプラクティックの施術、車をバックさせるときの首のひねりなどで椎骨動脈が避けてしまうことでおきてしまうこともあるのです。

3.検査方法

姿勢が悪くなってきたので、脳への血管の屈曲が心配になったらどうすれば良いのでしょうか?

3-1.頭部だけでなく頚部まで含めたMRA検査がもっとも良い

もっとも有効な検査は、MRAです。MRIが脳の実質を観察することに対して、MRAは脳の血管を観察します。通常の検査では、頭部のMRAのみが行われることが多いのですが、希望すれば頚部のMRAも同時に撮影が可能です。若干、撮影時間が延びるだけですから問題はありません。


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脳ドックなどでは、すでに頭頚部MRAのメニューになっていることも多い様です。詳しくは、以下の記事も参考になさってください。

3-2.単純な頚部XPもかなり有効

いきなりMRAには抵抗がある方は、単純頚部XPも有効です。これは、殆どの開業医で対応できる簡単なものです。この検査で、頸椎の変形や屈曲が強く指摘された場合に、頭頚部MRAを行うことも一つです。

3-3.耳鼻科的検査方法はあまり一般的ではない

角田先生は、経鼻的喉頭ファイバーで喉の奥に、頸動脈の拍動を観察して、走行異常を確認されていました。ただし、これらのケースは患者さんが、のどの異物感を訴えてきたためで、一般的ではありません。逆に言えば、のどの違和感を自覚された場合は、耳鼻科で耳鼻科的疾患を否定してもらう必要があります。

4.医学的対応方法

検査で、頚部動脈の屈曲が指摘された場合はどうすれば良いでしょうか?

4-1.抗血小板療法

この場合は、血液をサラサラにする薬を使用することで脳梗塞の発症を予防します。具体的には、抗血小板薬と言って、血小板の凝集を阻害することで、血栓をできにくくします。虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、脳梗塞後遺症、下肢動脈閉塞、心臓弁膜症術後などで使われます。具体的には、バイアスピリン、パナルジン、プラビックス、プレタールなどです。

4-2.動脈硬化のリスクを減らす

抗血小板薬を服用するだけでなく、生活習慣病も予防しましょう。高血圧、糖尿病、脂質代謝異常といった疾患を予防・コントロールすることが動脈硬化を進行を予防し、脳梗塞の発症を軽減させるのです。

5.姿勢が悪い人は運動不足…とは一概に言えない理由

姿勢が悪い方は、運動習慣が少ない方が多いものです。良い姿勢は、意識して改善できるものでなく、自分の筋肉を使うことで保たれるものです。ウォーキングなどの有酸素運動でもある程度は、筋肉は鍛えられます。しかし、姿勢を維持するためには、体幹の筋肉を意識した運動も必要になります。

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体にいいことをしているつもりでも、姿勢が悪いと元も子もありません

6.姿勢改善にはブレイングボード®もお薦め

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7.まとめ

  • 悪い姿勢は、頸動脈の屈曲を介して、脳梗塞の原因となる事があります。
  • 不安な方は、頭部および頚部のMRA検査を行い、必要なら抗血小板薬も必要です。
  • 姿勢改善には、運動習慣により自分の筋肉を刺激することも大事です。
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