50歳を超えてeGFRが低いと言われたら検討してほしい2種類の薬

50歳を超えてeGFRが低いと言われたら検討してほしい2種類の薬

最近、血液検査の項目の中にeGFRという項目があることに気が付きませんか? 肝機能、血糖値、コレステロール値といった項目に比べ、「何を意味しているの」、「よくわからない数値」と思われているのではないでしょうか? 医療現場では、高齢化に伴い慢性腎不全の患者さんが増えています。その腎不全のフォローに際してはeGFRがとても重要になります。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉がeGFRについて解説し、eGFRが高いと言われた際に主治医に処方をお願いしてほしい2種類の薬を紹介します。

目次

1.eGFRとは?

eGFRとは、現在の腎臓の機能を示す値です。eGFRは腎臓の糸球体といって必要な物質と不必要な物質を交換する腎臓のフィルターが1分間で処理している血液量を示します。単位は%で表示され、60%を切ると腎機能の低下が示唆されます。

従来は、クレアチニンという検査項目が腎機能の目安になっていましたが、年齢・性別で基準値が異なる問題点がありました。そこで、クレアチニン、性別、年齢を特別な数式に組み込むことでeGFRを算出して用いられることになりました

2.eGFRが低下する原因

50歳を超えてeGFRが低下する原因は糖尿病・高血圧といった生活習慣病が原因であることが多いです。eGFRの低下、すなわち腎機能の低下を防ぐためには、血圧のコントロールおよび糖尿病のコントロールが何よりも重要となります。

3.血圧はただ下げればよいわけではない

高齢の医師や内科のトレーニングを受けていない開業医の先生の中には、eGFRが低下していてもただ血圧を下げれば良いと考えている方もいらっしゃいます。eGFRの低下を認める患者さんの場合は、必ずACE阻害薬(商品名:レニベース、コバシル、エースコール、タナトリル)かアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(商品名:ディオバン、ブロプレス、アジルバ、ミカルディス、オルメテックなど)を使う必要があります。降圧薬の中で、腎臓の保護効果が認められている薬はこの2種類しかありません。


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カルシウム拮抗薬(商品名:アムロジン、ノルバスク、コニール、アダラート)などはよく見られる処方ですが、eGFRが低下している患者さんには、ACE阻害薬かアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬に変更もしくは追加してもらうようにしましょう。

4.糖尿病でなくても糖尿病の薬?

eGFRの低下を認める患者さんに糖尿病の治療薬の一つSGLT2阻害薬が、糖尿病の有無を問わず慢性腎不全患者さんの予後を改善することが報告されました。その結果2021年7月28日、SGLT2阻害薬のひとつ「フォシーガ」が、慢性腎臓病への使用を承認されました。ただし、eGFRが25%を切ってくると効果が認められないことが多いため、60%を切ったころから積極的な使用をすることにより、悪化を防ぎたいものです。

5.まとめ

  • eGFRは腎臓の機能を表します。60%を切ってきたら注意が必要です。
  • 高血圧がある場合の降圧剤は、ACE阻害薬かアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の使用が必須です。
  • eGFRが25%を切る前に、糖尿病の有無に関わらずSGLT2阻害薬のひとつ「フォシーガ」の使用も検討しましょう。
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