豆乳を飲む人は認知症のリスクが3割低い

豆乳を飲む人は認知症のリスクが3割低い

健康のために牛乳・豆乳などを飲んでいる方は多いと思われます。今回、これらの摂取と認知症の発症リスクについて興味深いデータが発表されました。研究では、豆乳が認知症のリスクを減らすことが明らかになりました。豆乳は認知症だけでなくでも多くの効果が認められています。今回は、認知症専門医の長谷川嘉哉が豆乳の認知症に対する効果を解説します。

1.豆乳を飲む人は、認知症の発症リスクが低い

以下のような研究発表がありました。英国の中高年男女30万7271人(平均年齢56.3歳、52.0%が女性)を対象にしたものです。

目的:植物性の豆乳を含むミルクの摂取量を種類別に調べて、認知症発症リスクとの関係を検討

方法:摂取しているミルクの種類を「全乳」「脱脂乳(低脂肪乳、無脂肪乳)」「豆乳」「その他」に分けて摂取量を計算し、その後の認知症の発症を追跡。主に摂取していたミルクが全乳だった人は6.7%、脱脂乳は84.8%、豆乳は4.0%、その他のミルクが1.2%でした。3.3%は「ミルクは飲まない」と回答

結果:中央値12.3年の追跡で、3789人(1.2%)が認知症を発症。分析に影響を及ぼす可能性のある要因と遺伝的な認知症リスクを考慮して分析したところ、ミルクを飲まない人たちに比べて認知症のリスクが有意に低かったのは、豆乳摂取者のみ。リスクは31%低くなっていた。特に、アルツハイマー病で、どの集団との比較も有意差を示した。

2.豆乳が認知症のリスクを減らした原因

そもそもの豆乳の効果を考えると、認知症のリスクを減らしたことに不思議はありません。

2-1.イソフラボン

大豆イソフラボンは、大豆の胚芽に含まれている植物性化合物でポリフェノールの一種です。イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に似た構造をしています。エストロゲンは、脳に対して認知機能の改善・神経細胞の保護の働きがあります。したがって、閉経前までは同年代の男性よりも優れた記憶力が、閉経後に急速に低下して認知症の発症につながる可能性もあるのです。

2-2.豊富な不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸の摂取量は、認知症のリスクを低下させます。一般的には、大豆をはじめとした植物性脂肪には不飽和脂肪酸が、動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれています。特に豆乳は、牛乳に比べて飽和脂肪酸が少なく不飽和脂肪酸が多く含まれています。大豆の脂肪酸の約80%は、リノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸です。リノール酸に代表されるオメガ6(n-6系)脂肪酸と、α-リノレン酸に代表されるオメガ3(n-3系)脂肪酸の2系統の多価不飽和脂肪酸は、人の体で合成できない必須脂肪酸と言われています。

2-3.レシチン

レシチンは、脳の老化予防、コレステロール低下させることで認知症を予防する可能性があります。

3.その他の豆乳の効果

豆乳には、脳に対する効果以外にも多くの効果があります。


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3-1.オリゴ糖

豆乳に含まれる大豆由来のオリゴ糖は、腸内環境を整えてくれるビフィズス菌や乳酸菌の栄養源となります。善玉菌を増やし、免疫力を高めて腸壁を刺激し便通をよくする働きとなります。自分自身は、認知症の原因は腸内環境と考えています。この点からも、豆乳がオリゴ糖の働きを介して認知症の発症を減らすことは不思議ではありません。

3-2.フィチン酸

豆類や穀物類に含まれているフィチン酸は、糖類の一種で細胞を活性酸素から守り、発がんを抑制する働きがあります。実際に、フィチンを原料としてサプリも多く発売されています。もちろんサプリで摂取するくらいなら豆乳を飲むことをお薦めします。

3-3.多彩なビタミン・ミネラル

豆乳にはビタミンB群が含まれており、脳の機能を維持する働きをもっています。さらにカリウム・マグネシウムも豊富です。カリウムは、血圧を安定させ、マグネシウムは心臓や血管、神経やホルモン分泌臓器などの働きを調整してくれます。

4.豆乳の摂取方法

豆乳だけでの摂取に抵抗がある方は以下の方法もお薦めです。

4-1.ソイラテ

エスプレッソコーヒーに豆乳を加えたものが、スターバックスではソイラテとして販売されています。さすがにエスプレッソではありませんが、自分は毎日コーヒーに豆乳を加えて飲んでいます。癖もなく、毎日飲んでも飽きません。

4-2.豆乳ヨーグルト

最近では、ヨーグルトに対して、豆乳グルとも売っています。豆乳グルトだけでは癖がありますが、そこに蜂蜜やジャムを加えればとてもおいしく豆乳が摂取することができます。

4-3.牛乳の代わりに

料理の際に、牛乳を使う際に豆乳を使っても殆ど問題ありません。ホワイトシチューを作る際も牛乳の代わりに豆乳を使っても全く問題ありません。

5.まとめ

  • 豆乳を飲む人は認知症のリスクが3割低いことが報告されました
  • 豆乳の、イソフラボン、不飽和脂肪酸、レシチンの働きを考えると不思議ではありません。
  • 豆乳が苦手な方は、ソイラテや豆乳グルトでの摂取がお薦めです。
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