医師が勧めるおかゆの作り方・体力を回復する方法と栄養面の知識も

医師が勧めるおかゆの作り方・体力を回復する方法と栄養面の知識も

外来をやっていると、「風邪を引いたのでおかゆ(お粥)を食べました」と言われれる方が結構いらっしゃいます。下痢などの消化器症状でお粥を食べることは理解できるのですが、「体調を崩したときはまずお粥」という信仰に近い考えがあるようです。食欲がないとき、体が弱っているときに「何か食べなきゃ」と考えれば「お粥」と考えられる方が多いのもわかります。

実は医学的に考えると、ただやみくもにお粥を食べることはデメリットにさえなることもあります。今回の記事では、医学的に裏付けに基づいた効果的なお粥の摂取方法をご紹介します。

目次

1.お粥とは?

お粥とは、ご飯と同じ要領で、多めの水で米から炊いたものです。お粥はお米から炊くのが基本ですが、ご飯で炊いたものを「入れがゆ」、お米から炊くと「炊きがゆ」といって区別します。粥の上澄み液は重湯(おもゆ)といいます。関西地方では「おかいさん」とも…。炊きあげてから時間がたつと糊状となって極端に食感が悪くなるため「人を待たしても粥は待たすな」の格言があります。

ちなみに、雑炊は、ご飯にだし汁や具を入れて煮込んだものです。お粥のように米からでなく、炊いた米から作る点が異なります。

お粥の作り方
1.鍋に洗った米と分量の水を入れ、20分から30分吸水させます。
2.ふたをして40分ほど炊きます(煮る)。
10倍粥(五分粥):大さじ1の米に対して150ccの水で炊く。
7倍粥(七分粥):大さじ1の米に対して105ccの水で炊く。
5倍粥(全粥):大さじ1の米に対して75ccの水で炊く。
軟飯:大さじ1の米に対して45ccの水で炊く。
作り置きは美味しくなくなるので、一回で食べきれる量を計算して作りましょう。

2.お粥のメリット

お粥には以下のような効能があります。

2-1.栄養の吸収が良い

普通に炊いたご飯を食べるより、お粥にして食べた方が消化が早いので、内臓に負担を掛けずに栄養を摂ることができます。お粥には硬さが色々あり、殆ど液体の様になっているものもお粥に入ります。入院時、回復に応じて徐々に硬さの調整を行うことができるのも、お粥が病中の食事に適している点だと言えるのです。

2-2.体が温まる・精神的ほっこり感

人間の体は体温を上げる事によって免疫力を高めることができます。お粥は体を温める効果があるので、風邪を治すためのサポートもしてくれるということになります。更に熱い湯気の出ている食事は詰まった鼻をスッキリさせてくれる効果もあります。何よりも、体調を崩してお粥を作ってもらった時の、精神的な安心感も重要です。

2-3.胃腸に優しい気がする?

消化器系の風邪は困ります。食事をしてもすぐにトイレに行きたくなったり、食欲も無くなってきたり。脱水症状も起こりやすくなるので水分も必須なのですが、それも意味がないくらいすぐにもよおしてしまいます。そんな時こそお粥です。温かいお粥は胃腸を温めてくれ、免疫力を高めてくれます。そして、水分もゆっくり体に染みこませる事ができます。更に消化もいいので、疲れている消化器官に負担を掛ける事無く食事を摂ることができます。

3.お粥のデメリットと注意点

無条件に体調を崩すと「お粥」と考えがちですが、デメリットもあります。

3-1.カロリーが少ない

お粥は、少量のお米を多めの水で炊き上げるのでカロリーはとても少ないのです。栄養満点の食事を摂るという訳にはいきません。体調が回復すれば、早急に通常のご飯に戻していく事をおすすめします。

【カロリー比較 100gあたり】

ごはん 168kcal
全粥 71kcal
七分粥 50kcal
五分粥 36kcal

3-2.炭水化物のみである

お粥はカロリーが少ないだけでなく、基本的に炭水化物しか栄養素が含まれていません。カロリーが低いだけでなく、栄養のバランスも偏っているのです。特に、不足しがちなタンパク質はお粥に食材をプラスしてあげる必要があります。

 

Japanese congee
具を追加したり、副菜を充実させることで栄養を補いましょう

3-3.しっかり噛むことがおろそかになる

お粥は胃腸に優しいので、胃腸風邪の時などにはとても向いているメニューと言えます。しかし、あまりにサラサラ食べることができるので、ついつい噛まずに飲み込んでしまう事も多いのです。

すべての消化活動は酵素の働きが不可欠です。しっかりと口の中で噛むことで唾液がまぶされ、酵素反応が活性化します。その段階を経て、胃に送り込まれ同様の酵素反応が腸管の各部位で行われるのです。せっかく、お粥を食べても、唾液をまぶさなければ、消化器官は一生懸命分解しなくてはならなくなり、消化不良を起こす可能性もあります。お粥は食べる時には噛み砕く事を意識しましょう。


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体力がある方などは、そもそもお粥を食べなくても、いつもよりしっかり噛むことで、お粥のメリットは十分享受できるのです。

4.高齢者のお粥。注意点は

高齢者は以下のような理由で、お粥を摂取されることがあります。

4-1.歯が悪い時

歯が悪いのでお粥を食べる。これには注意が必要です。歯が悪くなると、「必要なものでなく、食べられるものを食べる」傾向があります。こうなると柔らかいお粥のような炭水化物に偏った食事になります。不思議と、高齢者が摂取すべきタンパク質は、肉や魚等それなりに噛む力が必要なのです。

歯が悪くなると食事が炭水化物中心となりバランスが悪くなります。結果として栄養状態が悪化し健康寿命が短くなるのです。逆に、歯が良くて噛む力が維持されていると健康寿命が延びるのです。

4-2.加齢に伴う食事量低下

通常、食事量が減ってくると、栄養のバランスを取ることは難しく栄養が偏るものです。昔は、このような状態ではお粥を食べてたものでした。しかし、お粥には炭水化物しか含まれていません。患者さんは、日が経つと低タンパク血症となり、徐々に尿量が落ちて寿命を迎えたものでした。ある意味これが自然の流れだったのです。

最近ではお粥に優先して、薬剤として栄養補助食品を処方します。こららの代表的な製品が、大塚製薬の「ラコール」です。ラコールには3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)のほかに、ビタミン、微量元素がバランスよく含まれています。従来の海外製品に比べ、日本人向けに10%ほど脂質を減らしているので、下痢が起こりにくくなっています。

タンパク質として必須アミノ酸も完全に網羅されたラコールだけ飲んでいても、低タンパク血症にはなりません。かえってビタミン、微量元素のお蔭で肌の色も良くなってきます。栄養の重要性とお粥の限界を感じてしまいます。

5.オススメのお粥

お薦めのお粥は、メリットを高め、デメリットを補います。

5-1.体をさらに温める効果

身体を暖める効果を期待して食べる場合、一緒に入れる食材に工夫をすると尚一層効果が期待できます。例えば発汗効果もあるキムチ梅干しなど、他にも体温を上げてくれるカボチャニラなどを上手に活用しましょう。

5-2.カロリーを補う

なかなか普通食に戻せない時は、副菜にカロリーの高いものを取り入れましょう。カブカボチャイモ大根などの根菜類は体を温めてくれる効果もあり消化も良い食材なので、お粥の効果を邪魔することなく栄養もしっかり摂る事が出来るのでおすすめです。

5-3.タンパク質を補う

特に免疫力を高めて、風邪を治すパワーの素となるアミノ酸が豊富な卵は有効です。は、プロテインスコアが100点という優れた食材です。ちなみに以前は一日1個までと言われていましたが、現在はそのような制限は不要となっています。一日1個とは言わずに毎食でも取り入れましょう。

Rice porridge bowl
玉子粥にすると、栄養価が高まります

5-4.定番の「梅干し」にもメリットが

お粥と言えば、梅干で味をつけながら食べるのが一般的です。梅干は唾液を多く分泌させ、唾液の消化酵素には消化を助けます。梅干と一緒に食べることで、ご飯と唾液を混ぜ合い消化を良くすることにつながるのです。ちなみに梅干しは、喉の痛みや咳に効果的なクエン酸をたっぷり含んでいます。

Japanese food, pickled Plum Umeboshi and congee
梅干しはメリットが多いですが、これだけでは栄養が不足します

6.まとめ

  • お粥には、たくさんのメリットがあります。
  • しかし、カロリーが少ない、炭水化物に偏っている、唾液をまぶす必要があることを忘れてはいけません。
  • お薦めのお粥には、食材を組み合わせることでメリットを高め、デメリットを改善することができます。
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