著者の山崎光夫は、私の大好きな、「なんでも鑑定団」に一般人として出演されていました。鑑定品以上に、彼が書かれた本の題名にひかれ思わず手に取った本です。これは掘り出し物でお薦めです。
- 曲直瀬道三 は「日本医学中興の祖」と位置づけされている。日本の医学史上、名医と名のつく医者は数多く存在するが、道三こそ、名医中の名医といえるだろう。
- 家康は中国の古医学書を愛読し医薬に関心が深く、後年、自ら薬を調剤して健康管理するほど専門域に達している。その基には道三の存在と教示があったと考えられる。
- 常日頃から病気に罹らないように体をいたわるのが学問や芸術を究める道であり、病気になったら、病を治す術を心得ておくのも武士たる者のつとめである。
- 唾液を吐かずに飲み込んでいると、長生きでき、年をとっても老化しない。
- 唾液は口腔内の唾液腺から、一日、約一・三リットル分泌される。唾液には唾液腺ホルモンのパロチンが含まれ、骨の成長促進、抗ストレス作用が知られている。ホルモンは血管内に分泌されるが、パロチンは唯一、血管外に分泌される。
- 房事において、異性の、つまり男は女から、女は男から、唾液を吸い取り、嚥むと老化予防となると伝えられている。
- 身体のことを常に気をつけ、いたわって、心おだやかに、ふつうに生活していれば薬の世話にならなくても、楽しく長生きできる。
- 満腹のとき、髪を洗ってはならない。また、空腹で湯に入ると体調を損なうので注意が肝心。
- 湯上がりで髪の毛の濡れたまま寝込むと、頭痛やめまいが生じる
- 汗も下痢もおろそかにせず、大切なものと考えるのがよい。それが、自分の身体の内側と外側から病気を教えてくれる中心になるのだから。
- 寝しなと食後に口をすすげば、口臭は発せず、虫歯にもならなくてすむ。
- 道三時代に痛み止めはなく、歯の治療は期待できなかっただけに、予防は大事だった。
- 老人は長い人生経験を短い言葉でいろいろな人に語り伝えなさい。
- 尿はもよおしたときに排出してしまうのが、身体にいいよ。
- 利益や名誉ばかりを追っている人は、心身ともに余裕がなく、いつもせかせかしていて、養生に適っているとはいいがたい。
- 自分の将来や行く末などを考えずに、楽しみばかり追っている人は、短命となり、災難もふりかかってくる。
- 華美で派手な栄華は容易に衰えるが、地味でも着実な生き方は長く栄える。
- 基本生活と性生活は、養生を考える上で車の両輪なのである。そもそも養生というのは、毎日の飲食の管理と男女の交合──、ただこの二つの点で決まるものなのです。
- 男女交合の真髄を学んでいない人では、おのれの欲望だけを勝手に処理して、結局、女人は満足が得られません。反応も上滑りに終わり、女人の精気も巡らされず養生とは無縁の行為となります。
- 日本の有史以来の三大ベストセラーをあげると、紫式部の『源氏物語』と松尾芭蕉の『奥の細道』、それに貝原益軒の『養生訓』である。主題は、それぞれ、「恋愛」「わび」「健康」だった。