当院は認知症患者さんを主に診察しています。そのためなのかはわかりませんが、月に1件は裁判所もしくは法律事務所から連絡があります。内容は「相続」に際して、被相続人の認知症の状態に対する問い合わせです。結局のところは、相続でもめていて当院も巻き込まれているということです。著者の天野隆さんは相続専門の税理士さんです。その専門家が相続で幸せになる方法を紹介しています。相続は額の多少に関わらず誰にでも起こることです。一読をお薦めします。
- 相続には2つの「格差」があると考えるようになりました。 1つは、財産の分け方の不平等による「お金の相続格差」 もう1つは、相続に不満が残ったか、相続で幸せになったかによる「心の相続格差」
- 法定相続分は、正確にいうと、相続人の間で行われる遺産分割協議がまとまらなかったとき、裁判所が仕方なしに「最終的にこうするしかない」と決める目安なのです。つまり、ルールではなくて例外的な対応といったらよいかもしれません。実際の相続では、財産が法定相続分通りに分けられることはほとんどありません
- きょうだいが遺留分を要求すると、骨肉の争いが勃発 しかねません。とくに、相続財産のほとんどが不動産の場合、土地や建物を分けるのが難しいため、それに代えて遺留分を金銭で払えと要求する親族も出てきます。そうなると、遺留分をめぐって泥沼の争い
- 「相続格差」には、次の2種類があるわけです。 ①現金や不動産など、財産の分け方の不平等による格差 ②相続によって幸せになったか、モメて不満が残ったかによる格差 おもしろいのは、①で格差があったからといって、それが②の格差には必ずしも通じない
- 「勘定(お金)」より「感情(心)」でモメることがほとんど
- 産の総額とモメ具合があまり関係ないことは、何億円、何十億円という資産家の相続よりも、5000万円以下の相続でモメることが多い事実からもわかります。相続でモメて裁判まで行ったケースでは、1000万円~5000万円以下が 42・9%ともっとも高くなっている
- 「親が私たちに財産を残してくれてありがたい」「お金も大切だけど、親族が仲良くすることはもっと大切」などと物事をプラスに考える「プラス思考」の人ばかりだと、相続はモメません
- 世の中には、自分の力で変えられることと変えられないことがあります。私が見る限り、 モメる相続の原因の多くが、変えられないことに固執している ような気がします
- 一次相続のご相談では男性が亡くなったケースが 82%という数字が出ています。
- 節税より母親の生活を優先してほしい、さらにいえば 心情を優先してほしい
- 親自身が贈与を受けて感謝した経験があると、自分も子どもに対して生前贈与をしようという意識になります。
- 実際に遺言書を残している人はごく一部で、税理士法人レガシィが扱った相続では、2021年で全体の 11%ほどしか遺言書はありませんでした
- ここ数年、レガシィが扱う相続で遺言書があった割合は 10%前後で推移しているのですが、資産が5億円以上の相続に限ってみると、2018~2020年は 11 ~ 16%の範囲だったものが、2021年には 25%へと急激に伸びている
- 付言事項は、親から子へのラブレターといってよいかもしれません。相続で一番大切なのは思いを伝えることで、財産を承継させることは二の次だということを感じさせること
- 「相続」という言葉に、「相(すがた)を続ける」という意味が込められている。単に財産を継ぐのが相続ではありません
- 相続がモメにモメることのデメリットは、金銭的なものだけではありません。むしろ、 最大のデメリットは、親同士の戦いを子どもたちに見せていることにあります。 50代、 60代の親たちが争っている姿を、 20代、 30代の子どもたちが見ています。そんな子どもたちに対して、「君たちは仲良くやれよ」といっても説得力があるでしょうか。
- お焼香をしていると、すっと風が吹き込んできたり、壁に掛けてある額が動いたり、蝶々が飛んできたりしたこともあります
- 相続で譲る人にはなぜかツキが巡ってくる