現在は、日本人の年間死亡者の約 10%が相続税の申告をしています。そんな相続税を専門としていた著者の話ということで思わず手に取ってしまいました。やはりというか意外というか、富裕層の生活は極めて普通なようです。内容を一部紹介します。
- 生活ぶりは質素で、服装も極めて普通。一見しただけでは、富裕層と一般の人を見分けることはできません
- 億単位の資産をもつ富裕層も、その人生をたどれば、仕事をして、倹約に努め、地道に資産を蓄えてきた人ばかり
- なにか特殊なことをしたというよりは、節度をもって生活をした結果として、金銭的な余裕をもつに至った。そのようにして人生の選択肢を増やしてきた人が富裕層の大半
- 「無駄な見栄は張らない」ということでしょうか。高級車やハイジュエリーなどの 贅沢に一喜一憂しているのは、背伸びをした小金持ちさんたち
- 富裕層の家には、あまりモノがなく整然としている
- 年金や不動産賃貸などによる収入以内に生活費を抑えて、亡くなる直前まで資産を増やし続けていたケースが少なくありません
- 「お金を稼ぐ」ことが富裕層の条件と思われがちですが、「お金を守る」 ということにも力を入れなければ、富裕層として生涯を終えることは不可能
- 相続税調査のときに亡くなった被相続人の趣味を尋ねたところ、「革靴の手入れ」といわれることが何度かありました
- 富裕層はお金の情報を 家族とシェアする
- 担当した相続税事案では、官僚や大手企業勤めというケースはほぼなく、 中小企業経営者や不動産オーナー、個人事業主が多かった
- こうした人たちの共通点は、「定年がない」ことにあります。私が目にした富裕層の方々は、会社員や公務員が定年を迎える年齢を過ぎても、なんらかの形で収入を得ていました
- 富裕層の資産をより強固にしているのが、意外にも「公的年金」
- 現状のルールでは月給65万円、賞与150万円で厚生年金の最高額をもらえる
- 株式や投資信託、不動産といった、価値が増すものにお金を投じることは、「プラスサムゲーム」と呼ばれます。プラスサムゲームとは、取引の参加者全員が利益を上げられる
- へそくりのように、一見すると亡くなった被相続人の財産ではないけれども、「実質的には相続財産だ」と判断される預金を「名義預金」という
- 相続税調査で、 賃貸住まいの富裕層を一度も見たことがありません
- 税制のしくみをうまく活用できる人は、持ち家にしたほうがいい と思います。 持ち家の優遇税制措置は、「買う時」「売る時」「もらう時」の3つ
- 相続税に強い税理士が関与した申告書と、そうではない申告書は、税務職員が見ればすぐにわかります。 相続税に強い税理士の場合、申告ミスを起こさないのはもちろん、税務署が疑いをもちそうな点をあらかじめつぶして相続税申告をしています
- 遺産の金額が少ないほうが、遺産争いしやすい。令和3(2021) 年度の司法統計に、家庭裁判所にもち込まれた遺産分割事件のデータがあります。 これを見ると、遺産額5000万円以下の事件件数が全体の約 77%