先日、金融機関の担当者と話をしていると、「上層部から積極的に投資信託を売るように言われている」とのこと。話をしていても担当者の金融商品の知識はあまりにも低い。そんな人間が、高齢者を中心とする顧客に投資信託を売りつけると思うと、あきれ、不安、怒りがこみ上げてきました。今回は投資信託の怪しい一例をご紹介します。
目次
1.ぼったくり投資信託
この国には、金融機関だけが確実に儲かって、顧客が損をする「ぼったく投資信託」が溢れています。その上、顧客が損をすると、「自己責任」という言葉でごまかしてしまいます。信頼性ある大新聞に広告が乗っているからといっても、吟味しないで契約することはお勧めしません。
2.日本経済新聞で広告されている、「ぼったくり投資信託」の一例
「ばったくり投資信託」は、不思議と日本経済新聞で広告されています。紹介します。
2-1.投資のソムリエ
令和2年11月24日に広告されていた、「投資のソムリエ」。広告では、『コロナで実現、「大きく負けない運用」。預金の受け皿として注目。おかげさまで大好評!お取り扱い金融機関が増えています。100社。』とされています。しかし、内容は、購入時手数料:3.3%(税込み)、信託報酬:年率1.54%(税込み)。この低金利の時代に、購入時に3.3%が金融機関に持っていかれ、さらに毎年1.54%が信託報酬で持っていかれます。これで、金融機関はしっかり儲かりますが、購入者にはほとんど利益が残らないどころか、損する可能性も大です。まさに、「購入時に大きく負けて、さらに毎年確実に負ける運用」です。こんな「ばったくり投資信託」を100社を超える金融機関が取り扱っていると思うとぞっとします。
2-2.「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド:未来の世界(ESG)」
令和2年11月30日に広告されていた、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド:未来の世界(ESG)」。広告では、「信頼と実績の証 未来の世界シリーズ 残高2兆円 示談の変化をとらえ、高い競争力や成長力を持つ、「ハイクオリティ成長企業」に厳選投資」と書いてあります。
最近はやりのESGという言葉を使っていますが、内容は、「ばったくり投資信託」です。購入時に3.3%が金融機関に持っていかれ、さらに毎年1.848%が信託報酬で持っていかれます。毎年の信託報酬は、「投資のソムリエ」以上です。ESGという言葉に騙されてはいけません、内容は購入者に全く優しくありません。
*ESG:ESGは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の略。企業が長期的に成長するためには、ESGへの取り組みが重要との見方が急速に広まっている。
3.米国一の資産規模を誇るETFの手数料は?
ちなみに、同じ投資信託でも、米国のETF(上場投資信託)は、極めて低コストです。40兆円を超える資産規模の、米国株式のS&P500に連動するインデックスなどは、購入手数料は無料、1年間の経費率も0.03%です。いかに、「ばったくり投資信託」が暴利をむさぼっているかがわかります。
4.なぜ日経新聞で広告される?
なぜ、これほどひどい商品が、日経新聞で広告されるのでしょうか? 日経新聞も所詮は、広告料で成り立っています。広告主がいなければ、経営は成り立ちません。今時、新聞の1ページ全体に広告ができる企業は限られています。その広告主に対しても批判することもできないのです。そもそも広告しなければ売れないような金融商品でもあるのです。
5.まとめ
- 日本には、金融機関だけが儲かる「ばったくり投資信託」が溢れています。
- 溢れているだけでなく日本経済新聞で広告までされています。
- 自ら金融リテラシーを向上させる必要があります。