平成25年1月20日(日)、NHKで“終の住処はどこに 老人漂流社会”という番組が放送されていました。
取り上げられていたケースを紹介します。
①子供のいない夫婦が配偶者を亡くしてから独居になり、生活保護を受けてサービス付き高齢者賃貸住宅(以下サ
高賃)に入る話・・医療の現場でも年をとればとるほど子供の存在は重要です。
高齢者には、病状を説明して理解してもらうことさえ難しくなります。
ですから、子供のいない夫婦は、つねに配偶者が亡くなった場合の対策を考えておくべきです。
番組のケースでは幸い持ち家がなかったため、比較的スムーズに生活保護が認定されましたが、自宅がある場合
は、 さらに手間がかかることになります。
②片道3時間かかるサ高賃に認知症の母親を入居させるシングルマザーの娘さんのケース。
・・サ高賃の入所費用の半額(約8万円)を子供たちが分担していました。
現実には、負担できる子供さんがいるケースは少ないものです。
これだけ苦労してはいった施設も、認知症が進行すれば退所せざるを得ません。
③路上生活者が対象のNPO法人が運営する一部屋3畳で生活する高齢者。
・・まさに貧困ビジネスです。
あのスペースで、あの食事で生活保護費の約15万をすべて受け取れば結構儲かるものです。
番組の終わりに元ヘルパーの女性が始めた民間施設を紹介していましたが、これも一歩間違えれば
貧困ビジネスにもなります。
規制も監視もなく、すべては経営者の資質にゆだねる事はあまりに危険です。
国は、立派な特養・老健を作る必要はないのです。
最低限の費用で入所できて最低限のスペースしかないものを作るべきなのです。
そのうえで、お金のある人は立派な施設に、費用を追加して入居すればよい訳です。
現状では、国民年金しかなくても特養に入れない人もいれば、年金が300万あって特養に月額15万で入所し、年金の残りを貯蓄している人もいるのです。
現在、年金受給者の約40%は年間100万円以下だそうです。
そんな状況で、国は特養や老健より、費用のかかる有料やサ高賃ばかりを整備しています。
いずれは首都圏だけでなく全国で“漂流する老人たち”が増えてくると予想される番組でした。