名古屋の恥 ――新幹線ホームに漂うタバコ臭

名古屋の恥 ――新幹線ホームに漂うタバコ臭

日本を代表する大動脈、東海道新幹線。その中間拠点として圧倒的な存在感を放つのが、私の地元・名古屋駅です。東京と大阪のちょうど中間に位置し、ビジネスと観光の交差点となるこの駅は、いわば「日本の顔の一つ」と言っても過言ではありません。

しかし――。

その新幹線ホーム、とりわけグリーン車乗り場付近で、タバコの臭いを感じたことはないでしょうか。現在、東海道新幹線は全面禁煙です。車内にあった喫煙ルームも撤去されました。

それにもかかわらず、名古屋駅の新幹線ホームには喫煙室が設置されています。
上りホーム(14・15番線)は9号車付近、下りホーム(16・17番線)は16号車付近。
ちょうどグリーン車の乗車位置に近い場所です。

もちろん、喫煙室は「密閉型」「分煙設計」とされています。
しかし、扉の開閉や気流の影響、利用者の衣類に付着した臭いなどにより、どうしても周囲に臭いは広がります。

その結果――

グリーン車を利用する乗客が、出発前にタバコ臭を感じる。これは、果たして「仕方がない」で済む問題なのでしょうか。

目次

1.なぜホームに喫煙室があるのか

理由は明確です。

・車内全面禁煙への移行
・喫煙者の「乗車直前に吸いたい」という需要
・改札外に出さず利便性を保つ配慮

つまり、完全撤廃ではなく「折衷策」として残された存在なのです。

企業としては、急激な全面撤去による混乱を避けたのかもしれません。
現実的な判断だったとも言えるでしょう。

しかし問題は、「合理性」と「品格」は必ずしも一致しないということです。

2.名古屋はどんな都市でありたいのか

名古屋は、日本三大都市圏の一角です。
自動車産業を中心に世界へ誇る技術都市であり、近年はインバウンド観光も増えています。

東京や大阪から来た人が、最初に降り立つ中部の玄関口。
海外からの旅行者が、新幹線を降りて最初に体験する街。

そのホームで、タバコ臭が漂っている。

これは単なる「分煙設備の問題」ではありません。都市の姿勢の問題です。今や世界の主要都市では、公共交通機関の完全禁煙は常識です。喫煙室をホーム中央に設置する例はむしろ少数派です。健康志向が高まり、受動喫煙対策が強化される時代にあって、「グリーン車乗り場の前に喫煙室」という配置は、どう映るでしょうか。

3.グリーン車という象徴性

グリーン車は単なる座席種別ではありません。「快適性」「静寂」「上質」を象徴する空間です。その入口付近にタバコ臭が漂う。これは象徴的です。

名古屋は実利を重んじる街だと言われます。合理性を重視し、無駄を嫌う。

しかし、ときに「見えない価値」――
つまり空気、匂い、印象といった無形の価値への感度は十分だったでしょうか。都市のブランドは、こうした細部で決まります。


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4.「誰かのため」の配慮が「誰かの不快」になるとき

喫煙室は喫煙者への配慮です。それ自体を否定するつもりはありません。問題は、配置と優先順位です。

多数の非喫煙者、
海外からの旅行者、
小さな子ども、
呼吸器疾患を持つ人。

その人たちにとって、ホームでのタバコ臭は単なる「匂い」ではありません。

都市の成熟度は、
弱い立場への配慮にどれだけ本気で向き合えるかで決まります。

5.「名古屋の恥」と呼ぶ理由

少し強い表現かもしれません。

しかし私はあえて言います。

これは、名古屋の恥である。

なぜなら、技術も資金も知恵もある都市が、「やろうと思えばできる改善」を放置しているからです。駅構造上の制約があるなら、改札外への移設を検討できないのか。排気方向や導線を再設計できないのか。都市の玄関口は、
その街の理念を最も端的に表します。

6.変われる都市かどうか

名古屋は変化できる都市です。

リニア中央新幹線計画、再開発、駅周辺整備。未来志向のプロジェクトは次々に進んでいます。であればなおさら、「タバコ臭が漂うグリーン車乗り場」という光景は、時代とズレています。小さな違和感を放置しないこと。それが都市の品格を高める第一歩です。

7.最後に

名古屋は好きな街です。誇りを持っています。

だからこそ、
玄関口である新幹線ホームが、
誰にとっても清潔で快適な空間であってほしい。

合理性の街から、品格の街へ。

タバコ臭のないホームは、
決して理想論ではありません。

それは、
「これからの名古屋」を選ぶという意思表示なのです。

名古屋が、
本当に誇れる都市であり続けるために。

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