題名だけみると、少し抵抗感を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、内容をみると、世の中に新しく出てくる新業態についての理解が深まり、とても面白いものです。お金儲けに関心がない方でも、読み物として楽しめます。内容からご紹介します。
- マキャベリは「天国へ行くのにもっとも有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」と言ったが、これを金儲けに応用すると「儲かるビジネスを作るもっとも有効な方法は、儲からないビジネスについて熟知することである」ということになる
- 儲けるためには、「特殊な理由で『完全競争市場』にならない市場」を発見し、また作り出す必要がある。
- 客が組み立てをするIKEA 。「客に作業を押し付ける」という点では、焼肉もセルフガソリンスタンドも同様のビジネスである。
- 飲食店として成功しやすい条件は、次の通りであると考えられる。 ①家で作りにくい料理である ②仕入れで優位性を築くことができる ③酒の注文が出やすい業態である
- 「枯れた技術の水平思考」というものがある。アイデアを発想する際、最新の技術を用いた商品を作るのではなく、むしろ使い古されている技術を転用して面白いモノを作れないかと考える発想術
- この世界に存在する財は、「集めると高くなるもの」と「分けると高くなるもの」が存在している。 集めると高くなるものの典型は「土地」である。 分けると高くなるもの、の代表例は、例えば肉や魚である。
- 「金を払わせることでコミットメントを迫る」という構図はRIZAPも同じであり、金を払わない客よりも金を払う客だけを相手にするほうが、結局、客側のコミットメントが強いので成果が出る
- 新規参入で販売できる中毒性のある商品は、自ずと決定されてくる。 その中でも特に、「砂糖、小麦粉、脂肪」の、白い粉3点セットは、原価率が極めて低く、また、一度口に入れてしまえば、消費者が同じ店に条件付け的に再訪する確率が高くなる商材
- 人間は「損失回避性」を持っており、端的に言って、「得をしたい」という気持ちよりも「損をしたくない」という気持ちのほうが強く、その選好に基づいて行動を決定するということである。 この性質を利用した代表的なビジネスが「保険」である。保険は普通に考えれば、金融商品として保険会社側が儲かる(=顧客側は不利である) ように設計されている。
- 利益率の高い商売としてよく挙げられるのが「水商売」である。水商売は本質的には異性が接客することを提供価値としているが、料金の中身は席料の他にやたらと高額の水や酒などである。
- 「入場料」のような「空気を売るビジネス」は水よりもさらに原価が低いため、よりチャンスのあるビジネス
- 「ネットで売る」ことに対して「リアルで売る」ことの優位性は、「意思決定を捻じ曲げて儲かる商品に誘導することができる」ということ
- 5000円のワインをもらってもワイン好きにとっては全く嬉しくない、むしろ安物のワインになってしまうが、ボトル5000円のお茶は高級品、珍品として受け取ってもらえる
- 「ブランド」がない状況で事業を始める場合に、勝手に「認める側」に立つことで、極めて有利に事業を展開することができるので 「謎の資格を作る」と同様に、勝手に権威になる有効な手法として、「勝手に格付けをする」ことも挙げられる。