私たちは「よく眠れないと脳に悪い」と思いがちですが、本当に必要なのは“長く眠ること”ではなく、“脳が心地よく働ける環境づくり”。忘却の力、眠っている間の老廃物の掃除、適度な刺激の大切さなど、脳の仕組みがわかりやすく説明されています。
- 脳は鍛えるのをやめても、ある程度維持される点。そしてもう１つは、筋肉は体の組織のなかで、最も早く老化し、反対に脳は、最も老化しにくい臓器である、
- 脳は実は、「不要なものを削ぎ落としながら」機能を磨いていく。
- 脳は年齢に負けない。脳の仕組みを理解し、脳に本当の休息を与え、かつ、適切に体を休ませることで、脳をいい状態で保つことができる。
- 睡眠には「敵に食われるリスク」があるが、それを上回るメリットがあるはずだ。
- 睡眠の役割」としてわかっていることはある。 １．体のメンテナンス ２．休息 ３．老廃物の除去 ４．記憶の定着
- 「睡眠ホルモン」と言われるメラトニンには抗酸化作用があるし、「成長ホルモン」は骨、筋肉、皮膚を強化・修復する。
- 睡眠不足の蓄積がアルツハイマー型認知症につながるのではなく、「認知症の初期症状」として睡眠障害が現れている可能性がある。因果関係が逆なのだ。
- 活動のために生まれてきたのだから、脳は活動しないと衰えてしまう。 「眠らない脳こそ、老いない脳」なのだ。
- 「脳がほしがる休息」は睡眠ではない
- 「良質の睡眠」のためには、「良質の脳の覚醒」が欠かせない。
- 刺激がないと脳の認知機能は衰える。それどころか、壊れてしまうこともありうる。
- 幻覚は脳がつくる「自家製の刺激」
- 『静寂』は私にはうるさすぎた
- 脳は出生後、後ろから前へと発達していく。 「後頭葉→側頭葉・頭頂葉→前頭葉」 ──こんな順番だ。
- 最後に完成する前頭葉は、動きと情緒を司る部分だ。３歳から思春期にかけて発達を続け、完成するのは 25 歳くらいだと言われている。
- セロトニンなどの神経伝達物質の９割は腸に存在するため、「脳よりも先に腸が感じている」という説もある。
- ３日ほどの絶食となると、腸粘膜はぺらぺらに薄くなり、 絨毛 は短くなる。消化機能も免疫力もがくんと落ちてしまうのだ。
- 術後は絶食と点滴がスタンダードだった。しかし今では、腸のこの性質が理解されているため、「とにかく早く腸に栄養を入れろ！」というのがスタンダードになった。
- 結論から言うと、「大丈夫。睡眠は必要だが、そんなに長く寝なくてもいい」。
- 眠れないこと」以外の問題点が見つからない限りは、まず「気にしすぎ病」であることを説明
- 「眠れない」という人は、「眠くない」ということは、脳と体が「寝なくても大丈夫」といっているということだと受け止めてほしい。
- 「寝不足」も「寝すぎ」も健康リスクになる可能性があるということだ。
- つまり「認知症大国」とは、「長寿国」と限りなくイコールに近いのだ。
- 認知症患者が多い国トップ３」というあまり嬉しくない３つの国「日本、ドイツ、イタリア」は、長寿国トップ３でもある。
- 「グリンパティック（glymphatic）」とは、グリア細胞（glia）＋リンパ系（lymphatic）の造語だ。
- 「脳の細胞＝ニューロン」のイメージが強いが、実は７～９割はグリア細胞で、かなり簡略して説明すれば、ニューロンのアシスタントのような役割を果たしている。
- 「歳をとると記憶力が落ちる」というのは、この仕組みで説明がつく。新しい情報が古い情報に勝てないからだと考えられるのだ。
- こうして年齢とともに脳の中の倉庫に入った「使用頻度の高い言葉」が増えることで、新しい言葉を覚えにくくなるのだ。
- 世界基準の「認知症リスク因子」に「睡眠不足」は入っていない
- 脳はしっかりと行動の履歴を刻印し、使っているところを肥大させ、不要な部分を容赦なく萎縮させていく。
- そして特に効果的なのは、 有酸素運動やリズミカルな全身運動だ。
- 甘いものを食べて活力が戻る気がするのは脳の栄養補給が行われたからではなく、「腸でブドウ糖を吸収すると、脳でドーパミンが出る」ためだ。
- 甘いものを食べると報酬系ホルモンの作用で、一時的な快感やすっきりした感じがするが、文字通り甘やかしているだけで、脳のためにはならない。
- 認知症予防は糖尿病予防
- 「脳には糖分」の代わりに「脳にはクルミ」というのもおすすめだ。クルミは、丸い殻を割った断面が脳の形に似ていることから、中世ヨーロッパでは「脳にいい」と考えられていた。
- 脳は眠らない」のが事実であっても、「体は眠らずにはいられない」のである。 脳と体は、「不夜脳」と「夜眠体」 という関係なのだ。
