今回は、私が事あるごとに紹介させていただいている、“平成30年by堺屋太一” を紹介します。
執筆は、1997年から1998年(平成9年から10年)にかけて朝日新聞で連載小説されたものです。
平成30年とは、明治150年であり、その間の明治74年(=1941年=昭和16年)は太平洋戦争を始めた年であるのです。
この本は、予想小説なのですが、平成20年の際、堺屋太一さん自身が“本当は当たって欲しくなかったが、殆ど当たっている”というほど当たっているのです。
① 実際にすでに当たっていることを羅列します。
・ 子供の数が、団塊世代250万人、団塊ジュニア200万人に対して、100万人を割る
・晩婚化
・ネットコンビニ:インターネットで注文すると指定時刻に希望の品
・住宅新築件数が、年間160万戸から70万戸へ
・首都機能移転は、実現できず東京の一極集中が続く
・高齢者の大口就職先として、タクシー運転手、ビル清掃、喫茶の出前
現在、タクシーに乗っても、年金をもらっている高齢者が、個人事業主として歩合制で契約している人ばかりです。
・ニュータウンのマンションが古び、人が減る。空き家もふえ、いわゆる郊外の「高齢化の輪」
・調理は家庭ではせず、テイクアウトか中食ですます。
今一番、料理をしないのは、子育てを終えた主婦達だと言われています。
・西暦2000年の値段を100とすると、希少金属582、原油380、小麦260、鉄鉱石238⇒輸出競争が激しくなる一方、資源や食糧に対する需要が増えた
・貯蓄率が低下しているため無理して住宅を取得しようとせずに、親からの住宅を当てにしている
これらは、現在ではかなり当たり前ですが、執筆された平成10年頃には少し違和感を覚えたものでした。
またレアメタルという言葉は、今では一般的ですが、当時は馴染みのない言葉でした。堺屋さんは、レアメタルの高騰がすべての引き金になると予想しており、その先見性には驚きです。
② さて、そろそろ当たりそうなことが本の中では、
・消費税は12%で20%が議論されている
・貿易収支は、1000億ドル近い赤字と描かれています。まさに最近、貿易収支が赤字になったというニュースが流れたばかりです。
③ 今後、経済の状況では可能性のある事を幾つも指摘しており、多くの分野で、参考になると思われますので羅列させて頂きます。
・日本経済は、資源危機以来慢性不況。「少子化による非成長」と「円安による物価上昇」が共存するスタグフレーションが続く。
近郊団地は高齢化、森林の荒廃、農村の過疎、観光業の割高、商店街は空洞化。
・1ドル230円台(ドルは3倍、元は4倍)。グレープフルーツが500円。
・円安により、会社の時価総額が割安になり、トヨタが中国企業に買われる
・海外旅行はがた減り(1800万から1000万以下)
・三落・・円為替、株価、国債価格
・介護保険料・・一人2500円から20年で要介護者の増加で2倍、物価で3倍=15,000円
・医療機関・介護機関に対する監視の徹底により、不正もなければ親切もない利権業種
・健康保険は自己負担三割、介護は試行錯誤
・医療減反により、医院の新設や病床の増設を規制
・生命保険受け取り権買取が普及。契約型健康保険(年齢別定額、保険診療は契約した医院と病院のみ)
・病院もチェーン化
・ライフサポート付き賃貸マンション
・地価下落が、物価上昇に追いつかない
・不動産価格の値下がりに比し、家賃は下がらない。
すでに値上がりは期待できなくなり、利回り第一、しかし投資利回りは年7%、定期預金なみ。
・赤字三兄弟・・財政赤字、貿易赤字、企業の赤字(日本中の企業の損益を合計すると赤字)
・年金は労働賃金スライドから「実態物価」にあわせる
平成24年4月の介護保険の改訂などは、医療介護業界が、“不正もなければ親切もない利権業種”に進まざるを得ないと感じます。
個人的には、この本を読んでから毎月ドルとユーロと金とプラチナを購入しています。すでに購入開始から11年を超え、結構な資産および資産分配が出来ています。
さらに、目先の情報に踊らされることなく、いずれは円安&インフレというスタンスで投資をしています。
素晴らしい小説を書かれた堺屋太一さんに、感謝です。皆さんにも、是非、一読をお勧めする素晴らしい本です。