先日、橘玲さんの『大震災の後で人生について語る』を読みました。
橘さんは、経済小説作家であり、会計士といった専門職ではありません。
通常、医師も含めた、専門職が本を書くと、情報提供が主たる内容となるので2-3冊でネタ切れになる事が多いものです。
例えば、“誰でもわかる決算書の本”を書いた後に、“節税本”でも書くと大体ネタ切れです。
そんな中で、橘さんはあくまで会計的知識を元に、世の中の事象を独自の視点で捉えられています。
彼のような、執筆の仕方が出来れば、永久に“ネタが切れること”はないと思われます。
私が、出版した2冊もある意味、情報提供本です。3冊目以降は橘さんの手法を取り入れた出版ができればと感じました。
さて、この本の内容ですが、1997年のタイのバーツ暴落による通貨危機を見えない大災害と指摘しています。
その後、10年以上にわたり、日本では職のない中高年の男性が累計で10万人次々と死んでいる。
確かに、自殺者の死亡原因として“うつ”が指摘されていますが、その発端は経済的理由が第一位である事は間違いがありません。経済危機が長期におよぶと、自然災害上の犠牲者を出すのです。
そして、今後崩れる神話として、不動産神話、会社神話、円神話、国家神話の4つの神話を指摘しています。
その中でも、『よほどのお金持ちでないと、マイホームは個人のポートフォリオ上一極集中となる』や
『サラリーマンとは人的資本がポートフォリオの大部分を占める』や『国債の暴落から始まる①高金利 ②円安 ③インフレ』はとても賛同できるものでした。
ならば、今から何をすれば良いか、真剣に考え実行する必要性を感じました。
さらに、今後の仕事の形態として、“クリエイティブクラス”と“マックジョブ”と指摘しています。
つまり、誰でも出来るマニュアル化された拡張不可能な仕事をマックジョブとして、全体の8割がその仕事に甘んじるのです。
早速、家族会議でマックジョブについて議題に上げました。
一方、クリエイティブクラスも、拡張可能なクリエイターと拡張不可能なスペシャリストがあると言っています。
つまり、拡張可能なクリエイターはどこまでもその領域を広げ莫大な富を得る事が出来ます。
一方、拡張不可能なスペシャリストは、必然的に限界があり、その代表が医師と弁護士であるそうです。
私自身も、顧問会計士さんから常に指摘されている点でした。やはり今後はクリエイティブなスペシャリストを目指したいと思います。
いずれにせよ、とても学びの多い本でした。皆様にお勧めするとともに橘玲さんに感謝です。