今回は、認知症とうつ病のお話を紹介します。
認知症を疑う場合、鑑別診断には、うつ病は必ず加えます。
高齢になって急に元気がなくなり、反応が鈍くなる。
ご家族としては当然“呆けてしまった”と考えるようです。
その場合、やはり認知症の評価が大事になります。
うつ病の場合、一見すると、とても反応が悪く、
“認知症が進行している?”
と感じますが、評価スケールではかなり認知機能が保たれています。
また、画像診断でも脳萎縮が加齢変化のレベルで留まっています。
そのような場合は、認知症よりうつ病を疑い、抗うつ剤を投与します。
この場合、注意が必要なのは、抗不安薬や安定剤でなく抗うつ剤を投与する事です。
専門外の医師では、抗うつ剤の投与に躊躇されるケースもあるようですが、積極的に抗うつ剤を投与し、その効果により診断をつける「診断的治療」が重要となります。