血糖値スパイク(=食後高血糖)をもつ総合内科専門医として、令和2年4月からフリースタイルリブレを装着して4か月目に入ります。リブレによって頻回に血糖が測れることで、血糖とカロリーは異なることを痛感しています。
糖尿病や食後高血糖になると、フランス料理、イタリア料理といったフルコースなどは、食べてはいけないと勘違いしてはいないでしょうか? 概ねですが、これらのコース料理のカロリーは、1食当たり1200~1500キロカロリーとされています。運動量や体格にもよりますが、成人の1日の必要カロリーは1800~2200キロカロリーと考えると、かなりの量です。それほどにカロリーの高い食事を一度にとれば、血糖はとても上がってしまうと思えます。
しかし、私が、フランス料理やイタリア料理のフルコースを食べて、恐る恐る血糖を図ってもほとんど上がらないのです。カロリーとしては400キロカロリー程度のお握り2個を食べて血糖値が200を超えてしまう自分が、フルコースの後はせいぜい150程度しか上がらない。これには驚きです。
理由としては以下の点が考えられます。
- フルコースの食事時間は2時間近くかかる
- 一品一品の量は思いのほか少なく、野菜も多い
- 油を使っており、糖の吸収に時間がかかる
この中でも影響が最も大きいと考えられるのは、食事時間です。私の経験では、食事に90分以上かけると、カロリーが多めでも血糖は上がりにくいようです。一度、90分で血糖が上がらなかったコース料理を、時間がなかったため60分でお願いしたところ、てきめんに血糖が上がってしまいました。これほどまでに食事時間が血糖の上昇には影響があるのです。
もちろん、だからと言って毎日、フルコース料理を食べてくださいというわけではありません。食べ過ぎれば、血糖以外の中性脂肪やコレステロールの増加による肥満を引き起こします。しかし、糖尿病は、「○○を食べてはいけない」といった病気ではありません。ゆっくりと時間をかければ、フルコース料理は糖尿病や食後高血糖であっても食べてよいのです。