いわゆる「ゆとり教育世代」と呼ばれる若者たちが、社会で働き始めて数年たちました。「どうにも理解できない」という懸念が出てきていますが、彼らの心情・考え方を理解すると納得できることもあるのではないでしょうか?
ゆとり教育世代は何歳を言うのでしょうか?1988年から1996年生まれで現在の16歳から25歳です。特に17歳の子供達は、小学校入学時から“どっぷり”とゆとり教育に浸かっています。
それではゆとり教育の特徴は何でしょうか?ゆとり教育とは、従来のカリキュラムから授業時間が2割、授業内容が3割削減されたのです。さらに、ゆとり世代より少し前の1970年代生まれからは、大学全入時代で選ばなければどこでも入学は可能になりました。大学は学生を集めるために、なんと入学者の30%を推薦、30%をOA入試で入学させ、試験を受けて入学してるのは40%にしか過ぎないのです。平和ボケした現代社会で唯一の厳しさである受験もここまで落ちぶれているのです。一方で、有名大学はレベルを下げていませんから、真剣に受験に臨んでいる学生もたくさんいるわけです。その結果、学生の中には、向上心の2極分化がされているようです。
さらに絶対評価により、順位をつけることができなくなったことも忘れてはいけません。このことは、相対評価世代としては理解する必要があります。相対評価世代は、どれだけ努力をしても結果が出ない、つまり自分より結果を出した人間がいれば、評価されないことを体験しています。具体的には、通知表の1から5にはそれぞれ定員がありますから、自身がどれだけ頑張っても1であることさえあります。しかし、絶対評価世代は違います。結果よりも、自身が頑張った否かで評価されるのです、つまり通知表の算定でも、努力さえすれば全員5になることもあるのです。ですから、私が経験したケースでも、『もう少し、声を大きくしてください』と注意すると、『私は頑張って声を出しています』と答えるのです。つまり、周囲が声が出ているか否かと感じることよりも、自分が声を出しているか否かの価値基準で動くのです。そして、このような事例が続くと、“周囲が評価してくれない”といって退社することになります。
今までは学歴重視が否定されていました。しかし、今回述べてきたことを理解すると、これからは出身大学で“向上心をもって受験をしたのか”、さらに“相対評価の厳しさを知っているか”を推し量ることができます。ある意味、経営者は従来以上に学歴を重視することで優秀な人材を確保できるようになるのかも知れません。