糖質制限食はブームでなく、糖尿病の一つの治療法であることは海外でも実証されています。そのため当院では積極的に治療として用いており、成果を上げています。また、糖質制限食の本も目白押しです。単なるダイエット本のような内容のものから、医師が書いた本までバラエティに富んでいます。その中でお勧めなのが 藤田鉱一郎さんの 『50歳からは糖質を止めなさい』です。我々は学生時代に藤田鉱一郎さんの書かれた教科書で勉強していたので、なぜか安心してしまうことも事実です。一部内容を紹介します
①人間の体は50歳を境に生理機能が変わる。高校の生物で習ったように、人間には、“解糖系”と“ミトコンドリアで行われるTCAサイクル”の2つのエンジンがあります。これを表にしたものが以下です。
場所 | 体温 | 紫外線放射線 | 供給される細胞 | |
解糖エンジン | 細胞質 | 32-36度で活発 | 不要 | 白筋、精子、皮膚 |
ミトコンドリア | ミトコンドリア | 37度以上で活発 | 適度で活発化 | 赤筋、心筋、脳神経細胞、卵子 |
②40歳代までは炭水化物が重要なエネルギー源、50歳以上は糖質が栄養にならない〈酸素で働く〉
・ 50歳以上は体を冷やさないようにして、体温を高く保ち、酸素をたくさん吸い込む
・ 過剰な糖質がミトコンドリアエンジンを阻害し、活性酵素を生成・・毎食取るほど糖質を必要としない
*白米、パン、うどんは50代以降はご法度、お楽しみ程度に五穀米や玄米を
*多量の糖質による脳内の活性酵素が、アルツハイマーを引き起こす
③糖尿病学会が推奨する食事療法〈6割を糖質〉ではDMは改善しない。
これは、糖尿病に罹患した多くの医師が実感しているようです。
④寿命を決めているのは、ミトコンドリア、テロメア、長寿遺伝子、腸内細菌
本の中には、糖質制限食以外に、テロメアに良い食事や、長寿遺伝子のスイッチの入れ方、腸内細菌の育て方など内容満載です。
平成24年11月7日(水)のNHKの朝の番組でも、糖質制限食に対して誤解を招くような番組が放送されていました。
決して糖質を取っていけないわけでなく、“生活習慣が変わった現代社会の中で少し糖質を制限しましょう”という単純な内容がなぜ正しく伝わらないかと考えると悲しくなります。
皆さんも正しい、糖質制限食を学ぶためにこの本は、お勧めです。
ちなみに、本で腸内細菌が喜ぶスイーツとして紹介された『焼きバナナ』はすっかり気に入っています。
バナナを皮が付いたまま、トースタで8分程度焼くだけです。これも試してみてください。