骨粗しょう症は糖尿病の合併症・・予防と対策を専門医が解説

骨粗しょう症は糖尿病の合併症・・予防と対策を専門医が解説

骨粗しょう症という骨がもろくなる病気は、よく知られています。骨粗しょう症により骨折をすると、それをきっかけに認知症が進行したり、日常生活動作が低下して寝たきり状態にまっしぐらです。そのためにも骨粗しょう症は予防・改善したいものです。

そんな骨粗しょう症ですが、糖尿病の合併症としても知られていることをご存じでしょうか? 糖尿病診療ガイドラインでは、「骨粗しょう症は糖尿病の合併症」と明記されています。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川が、糖尿病患者さんが骨粗しょう症をおこしやすい理由と対策をご紹介します。

1.骨粗しょう症とは?

年齢とともに、骨の強度が低下して、骨折しやすくなる骨の病気を「骨粗鬆(しょう)症」といいます。日本国内の骨粗鬆症患者さんの推計は約1,280万人、うち女性が980万人、男性が300万人程度とされています。

骨粗しょう症は特に女性に多い病気で、患者さんの80%以上が女性です。しかし、男性にも起こります。男性は女性に比べて骨が大きく太いということもあり、若いときの骨量の貯金が女性に比べ多いです。また、女性の閉経のような急激なホルモンの変化もないため、骨量減少のペースは女性よりも緩やかです。しかし、高齢になればなるほど男性も骨粗鬆症になる人が増えるのです。

2.糖尿病患者さんはなぜ骨折しやすい?

糖尿病患者さんは、骨折しやすいことが分かっています。統計的にも、非糖尿病患者さんに比べ、1型糖尿病の患者さんは約3~7倍、2型糖尿病は1.3~2.8倍、大腿骨近位部骨折のリスクが高いことが分かっています。骨折しやすい理由としては以下が考えられます。

2-1.糖尿病患者さんは転びやすい

糖尿病患者さんは、神経障害を合併することが多く、バランスを崩した際の素早い対応が難しくなります。その結果、ちょっとした「つまづき」でも、骨折をしてしまうのです。また、網膜症の合併により視力障害を合併することも多く、障害物を避けることができずに転倒しやすくなるのです。

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ちょっとした転倒でも骨折しやすくなっています

2-2.低血糖発作

糖尿病患者さんは、血糖を下げる治療により、低血糖発作も起こしやすくなります。低血糖発作の場合は、意識消失を伴うことがあり、その際の転倒により骨折しやすくなるのです。以下の記事も参考になさってください。

2-3.骨粗しょう症を合併

そもそも糖尿病患者さんは、骨粗しょう症と関係が深いのです。『糖尿病診療ガイドライン2019』でも骨粗鬆症は糖尿病合併症として明記されています。通常の骨粗しょう症と比べ、糖尿病患者さんの場合は、「骨密度」以上に、「骨質」と呼ばれる、骨の構造や材質の関与が大きいと言われています。

*骨強度=骨質(骨の構造や、骨を形作る材料の特性)+骨密度(カルシウムなどのミネラル)

3.糖尿病患者さんの骨で何が起きている?

糖尿病患者さんは、以下のようなメカニズムで骨質が悪化しています。

3-1.AGEで骨が気弱化

糖尿病の患者さんのように、慢性的な高血糖状態が続くと、終末糖化産物(AGE:エージーイー)が蓄積されます。AGEはタンパク質と糖が加熱されてできた物質のことをいい、強い毒性を持ち、 老化を進める原因物質とされています。AGEが骨に蓄積することで、骨代謝のバランスを崩し、骨が脆弱化してしまうのです。

3-2.インスリン抵抗性が骨の脆弱化を亢進

インスリンは血糖値を下げると同時に、骨の新陳代謝を促す骨芽細胞の働きを高める作用をもっています。また、食べ物に含まれるカルシウムが腸から吸収される際には、活性型ビタミンDが必要です。その活性型ビタミンDが作られる過程にもインスリンが関係しています。高血糖が続く糖尿病患者さんでは、インスリンの作用が不足して、骨の新陳代謝が低下することがわかっています。

3-3.カルシウム低下が生じやすい

糖尿病の患者さんは、尿から糖が排泄されるとともにカルシウムも排泄されてしまいます。又、腎臓の機能が低下すると、ビタミンDの活性化がスムーズに行われず、食事でカルシウムを摂っても吸収がうまくできなくなります。また摂取カロリーを必要以上に減らしすぎるとカルシウム低下の原因となります。

4.糖尿病患者さんで骨粗しょう症の簡単な診断方法

骨粗しょう症は主に骨密度とレントゲン撮影による骨折の有無によって診断します。しかし、最も簡単な方法は、身長を測定することです。25歳のときの身長と比べ縮んでいる場合は、骨粗しょう症を疑って、以下のような検査を行います。

  • 骨密度検査:骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。 骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表されます。
  • レントゲン撮影:主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無、骨粗しょう症の有無を確認します。骨粗しょう症になると、レントゲン写真では透過性亢進・骨梁の減少したいわゆる「スカスカの状態」となって映し出されます。

5.運動療法が大事

糖尿病患者さんの骨粗しょう症・転倒・骨折には食事療法も重要ですが、運動療法が大事です。以下に、お薦めの2つの運動をご紹介します。

5-1.「片足立ち」運動のススメ

簡単そうに思えて、なかなか難しい「片足立ち」。実は、すごく運動量のあるトレーニングなのです。片足立ちに挑戦してみると、意外とフラフラしたり、足の筋肉が痛くなったりしてくるはずです。それは、普段使っていない筋肉が使われている証拠です。具体的には以下のように行います。

  • 周りに少しスペースをとって立ちます
  • 膝をあげて足先を地面から5cm~10cm程度持ち上げます。
  • あげた状態で1分間ゆっくりと呼吸をしながら姿勢を維持します。
  • 反対側の足も同じように行ってください。

5-2.4つの運動が同時に行えるブレイングボードもお薦め

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ブレイングボード®

「片足立ち」は手軽にバランス能力を高めることができる運動で、どなたにもおすすめできます。

しかし、糖尿病のことも考えると「有酸素運動」「筋力トレーニング」「柔軟性向上」「バランス性向上」を鍛える運動を行えるとさらに理想です。しかし、時間がなかなか取れなかったり、運動がきつくて大変だったり、方法がわからなかったりする方が多いのではないでしょうか。ブレイングループが考案したブレイングボード®を使うと、健康維持、強化に必要なこれらの四つの運動がわずか5分でできてしまいます。糖尿病の患者さんでは、血糖を下げる運動効果だけでなく、骨粗しょう症を予防して骨折を防ぐことができるのです。

6.まとめ

  • 骨粗しょう症は、糖尿病の合併症です。
  • 糖尿病患者さんは、骨粗しょう症、神経障害、腎障害、網膜症いずれの合併症でも骨折しやすいのです。
  • 骨折・骨粗しょう症予防のためには、食事療法とともに運動療法も重要です。
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