頭痛、肩こり、手の痺れ、浮遊感で悩んでいる方は多いのではないでしょうか?当院は神経内科を専門としているため、初診患者さんの代表的な3症状は頭痛、めまい、手の痺れです。時には、同じ症状を訴えて、10-20歳代の若い女性までもが来院されます。まず来院されると、診察前に頭部CTと首のレントゲンを撮ります。患者さんは、頭部CTについては納得されるのですが、首のレントゲンを取ることには不思議そうな顔をされます。実は専門医の立場からすると、頭痛、めまい、手の痺れの原因が、頭の中の病変であることは殆どありません。多くは、ストレートネックと呼ばれる頸椎の病変が原因です。
正常な人の頸椎(けいつい)は緩やかなカーブを描いて重い頭をバランスよく効率的に支えています。しかしストレートネックの人は湾曲がなく、真っすぐになっています。カーブが崩れることにより、頭が頸椎より前に来て、重い頭を首や背中の筋肉で支えなければならなくなり、慢性的な頭痛や首の痛み、肩こりといった症状が出るのです。
ストレートネックの患者さんは、さらに医学的な“なで肩”も合併していることが多く、この場合は神経根が引っ張られるために手の痺れを訴えます。正直、首のレントゲンを撮らなくてもスタイルを見ればわかります。首が長く、なで肩でスタイルの良い女性は、ストレートネックであることが多いのです。かわいそうですが、スタイルと引き換えに慢性的な症状を抱えているようです。治療は対症療法になりますが、原因を説明すると安心されて症状が気にならなくなる方も見えます。
そんなストレートネックを持った方も、加齢に伴って頸椎の変形が加わると、浮遊感が出現します。人間は60歳でほぼ100%頸椎の変形を合併します。そのため首の長いスタイルの良い女性が、50歳を超えると浮遊感を訴えて神経内科を受診されます。多くは、起き上がったり、上を向いたりなど、首の動きで誘発されます。日常生活の中で、首の動きに意識を持つように指導するだけで、症状の頻度は減少します。
ストレートネックによる症状を軽減する体操を以下に紹介しておきます。一度、試してみてください。