医師になって最初のうちは、
先輩医師と一緒に当直をします。
しかし、当たり前ですが、
“当直独り立ち”の日がやってくるものです。
自分の、初めての一人当直の日
当直医マニュアルを握りしめ
脳梗塞な患者さんが来たら・・
心筋梗塞の患者さんが来たら・・
喘息の患者さんが来たら・・
など、
いくつものパターンをシュミレーションしていました。
そんな緊張感のなか
病棟から電話
『先生、○○さんの顎が外れました!
来てください』
“顎が外れた!”はシュミレーションしていません。
もちろん、知識も方法も知りません。
祈る思いで、当直医マニュアルを開くと
な~んと
“顎関節脱臼の治し方”
が記載されています。
さすが、当直マニュアル!
方法を、素早く頭に入れて病棟に向かいます。
さりげなく、
1.施術者は患者の下顎臼歯の咬合面(上の歯と噛み合う所)に両方の親指を置く
2.残り4本の指で下顎を支える
3.そのまま臼歯を下に向かって押す
4.続いて後ろに下顎を引き、ゆっくりと下顎頭を関節窩へ導く
素直に、マニュアル通りに行うと
パッカーンとという音とともに
見事に、顎は元に戻ります。
看護婦さんの
『先生、お上手ですね』の言葉に
気を良くして当直室に戻ったものでした・・
ということで、無事初めての当直は終了したのです。