すべての人に、ビタミンDサプリメントの服用が必須!?

すべての人に、ビタミンDサプリメントの服用が必須!?

最近外来で採血をして多くの患者さんに不足していると思われものが ①タンパク質 ②隠れ貧血 ③亜鉛 ④ ビタミンD です。特にビタミンDは単に骨を強くするビタミンという認識の方が多いのですが、多くの作用があり、ある意味スーパービタミンと言えます。私自身採血をするとビタミンDの数値は極めて低い値でした。ビタミンDは人間にとって必須であり、理想は日光を浴びることで合成を促進したいところですが、近年のライフスタイルでは困難です。今回の記事では、総合内科専門医である長谷川嘉哉がビタミンDの効果および有効な摂取方法を解説します。

目次

1.もっとも有名な役割「骨の健康維持」

ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する役割を果たします。カルシウムは骨や歯の形成に不可欠なミネラルであり、ビタミンDの存在がなければ効率的に吸収されません。したがって、ビタミンDの摂取は骨の健康を維持するために非常に重要です。そのため高齢で骨粗鬆症の患者さんには、保険で活性型ビタミンD3製剤を処方します。

2.ビタミンDの多彩な効果

ビタミンDには骨の健康維持以外にも以下のような働きがあります。

2-1.免疫機能の向上

ビタミンDは免疫細胞の活性化や炎症の抑制に関与しています。ビタミンDが不足すると免疫機能の低下を引き起こし、感染症や自己免疫疾患のリスクを高めます。そのため、ビタミンDが不足している人は、新型コロナが重症化しやすいことが報告されています。

2-2.心血管疾患の予防

ビタミンDは心血管疾患の予防にも効果があります。ビタミンDの不足は高血圧や動脈硬化のリスクを増加させることが示されています。

2-3.認知症の予防

ビタミンDの摂取は、認知症を予防します。米国国立アルツハイマー病医療センターの研究では、に登録された、平均年齢71歳の高齢者1万2,388人を対象に、10年間追跡して調査した結果、ビタミンDを摂取していた高齢者は、認知症の診断が最大で40%少ないことが明らかになりました。特に、ビタミンDの効果は、男性に比べて女性の方が大きく、またアルツハイマー型認知症のリスク因子であるAPOEe4遺伝子をもっている人で効果が大きかったようです。当院でも、ビタミンDの測定をはじめ、今後適切に治療していく予定です。

2-4.糖尿病リスクを低下

血中のビタミンD濃度の高い人は、2型糖尿病の発症リスクが低いという研究結果が、米国内科学会(ACP)で発表されました。ビタミンDは、血糖値を下げるインスリンの分泌や、糖代謝などでも多くの役割をしているようです。

2-5.精神の健康に関与

ビタミンDは精神的な健康にも関与しています。ビタミンDの不足はうつ病のリスクが増加します。ビタミンDは脳内の神経伝達物質のバランスを調整し、気分の安定や認知機能の向上に寄与すると考えられています。

3.血中濃度を測定すると

ビタミン D 欠乏の判定は血清25(OH)D濃度測定により判断します。


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3-1.充足レベルの患者さんは殆どいない

充足レベルは 30 ng/mL 以上、不足レベルは 20 ~ 30 ng/mL、欠乏レベルは 20 ng/mL 未満とされています。私が測定した患者さんの中でも充足レベルの方はいらっしゃいませんでした。ちなみに私も20 ng/mLの数値で不足レベルの下限、ほぼ欠乏レベルでした。

3-2.高齢者では特に低下

高齢者は食事の量も減り、屋外に出ることも少なくなるためより一層ビタミンDが不足しがちです。そのため高齢者施設に入所中の人は、98%がビタミン不足だったという報告もあります。

3-3.日焼け止めでビタミンDが不足する。

従来、皮膚での紫外線によるビタミン D 産生によって、ビタミン D 必要量に対して80 ~ 90%は充足すると言われています。そのためビタミン D を充足するには皮膚への紫外線照射が不可欠です。しかし、紫外線の照射は、シミ・しわの原因となります。さらに日焼け止めを使用すると、ビタミンD不足になるという報告もされています。これからの時代は紫外線照射だけでビタミンDを充足させることは困難と思われます。

4.ビタミンDを補うには

紫外線だけで充足することが困難な時代には、ビタミンDの内服が必要です

4-1.医師が処方する薬(活性型ビタミンD)

ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、過剰摂取すると健康障害がおこることがあります。とくに医師が処方する医薬品としてのビタミンDは活性型であるため、高カルシウムに注意する必要があります。そのため定期的な採血が必要になります。したがって、40歳以下でビタミンDの低下を指摘された場合は、以下のサプリメントがお薦めです。逆に50歳を超えて骨粗鬆症も指摘されている方は、医師の処方で活性型ビタミンDの服用もお薦めです。

4-2.サプリメント(天然型ビタミンD)

サプリメントとして販売されているものは天然型であり、体内で代謝されるので過剰症の心配はありません。副作用が少ないため40歳以下でビタミンDの低下が指摘された方にはお薦めです。なお服用のタイミングは、朝の服用が推奨されています。

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5.まとめ

  • ビタミンDは従来の骨の健康維持以外にも、免疫機能、心血管疾患の予防、認知症・うつ病の予防、糖尿病の予防につながります。
  • 最近のライフスタイルでは紫外線照射の機会が減り、殆どの人がビタミンDが充足されていません。
  • すべての人にビタミンDの補充が望まれ、若い方はサプリメント、骨粗しょう症が合併している方が医師の処方でのビタミンDの服用が望まれます。
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