多くの患者さんは、運動の必要性を感じています。外来でも、医師として「運動してくださいね」とアドバイスするのですが、「できないかな?」と内心思っています。確かに多くの方は、仕事・家事・子育てなどやることがいっぱいで自分自身の運動時間を確保することは困難です。そんな中、研究者レベルで新しい運動スタイルVILPAが提唱されています。VILPAは短時間ですが、その効果は絶大です。今回の記事では総合内科専門医の長谷川嘉哉がVILPAについて紹介します。
目次
1.「VILPA」とは?
VILPAとは、Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity の頭文字をとったもので、「日常生活の空いている時間に行う闊達な運動」です。従来は、一定時間以上の運動が必要と考えられていましたが、隙間時間でも大きな効果が得られることが分かったのです。
2.短い運動の積み重ねが死亡率を低下
シドニー大学チャールズ パーキンス研究センターのスタマタキス教授の論文は以下です。
英国バイオバンクに参加している2万5千人の男女を対象に、7日間に渡ってウェアラブルデバイスを装着し日常の運動量を調べるとともに、過去7年間の健康データを追跡調査。以下の結果が得られました。
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1日に高い頻度でVILPAを行っている人は、行っていない人に比べ、健康改善の大きな効果がみられた。VILPAを行う回数・量が多くなるほど、健康改善の効果は大きくなった。
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1~2分のVILPAを1日に3回行っている人では、行っていない人に比べ、全原因およびがんによる死亡リスクが38~40%低く、心血管疾患による死亡リスクが48~49%低かった。
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VILPAを1日に最大11回行っている人は、がん関連の死亡リスクは49%低く、心血管疾患による死亡リスクが65%低かった。
3.具体的なVIPLA
VIPLAの具体的な例としては以下のようなものがあげられます。
- 歩くときは速度を少し上げてみる
- 時間に余裕があるときはひとつ余計に離れたバス停まで歩く
- 帰宅時にひとつ手前の駅で降りて歩く
- エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、
- 手近にあるペットボトルをダンベル代わりにして使い軽い筋トレをしてみる
- 休日は子供たちと活発に体を動かすゲームをする など
上記以外でも、わずか1~2分間の、少し息が上がるくらいの活発な運動や身体活動であれば、日常生活の中でも運動をする機会は結構あるものです。
4.ブレイングボード®もお薦め
当グループが開発したブレイングボード®も今回の研究結果にもマッチしています。軽く傾斜のついたプレイングボード®の上で行う以下の動作はそれぞれ2分程度の運動です。
- 両足でブレイングボード®に立ちます。すると、自然と足の裏側の筋肉が伸ばされ、柔軟性が高まります。さらに、足の裏で地面をつかむようにしながら、外側に体重をかけると膝関節、股関節、肩関節が開き、自然と姿勢がよくなります。実は、特許申請の際には、この点の独自性が評価されました。
- 青竹踏みのように2分ほど足踏みします。やってみると、緊張した足の裏に適度な刺激が伝わり、筋肉が柔らかくほぐれていきます。さらに傾斜がついていることで負荷がかかることが実感できます。
- ブレイングボード®の上で膝の屈伸運動を行います。手で摑む場所を膝、ふくらはぎ、足首へと動かしていくことで、全身のストレッチになります。
- ブレイングボード®の上で1分ずつ片足立ちをします。そうすると通常よりも逆の足にかなりの力を入れて踏ん張る必要があります。その結果、体幹を中心とした筋肉のトレーニングとなり、筋肉量を増やすことが可能です。ちなみに、一分間の片足立ちによる負荷は50分の歩行に相当します。
ある意味、ブレイングボードを使えば、理想的なVIPLAが簡単にできてしまうのです。なお2022年、ブレイングボード ®を使用した運動が認知症の予防改善に効果があることで特許取得しました。
ブレイングボード®は以下のサイトからご購入いただけます。
5.まとめ
- 新しい運動習慣運動 『VILPA』が死亡リスクを減少させます
- 『VILPA』とは「日常生活の空いている時間に行う闊達な運動」です。
- 『VILPA』の実践には、ブレイングボードがお薦めです。