血糖値スパイク(=食後高血糖)をもつ総合内科専門医として、令和2年4月からリアルタイム血糖値測定器「フリースタイルリブレ」を装着して血糖値を気にしています。現実には、自分より太っていて、食生活もいい加減な人が血糖のコントロールが良い方もいます。一方で、定期的に運動をして、体重を維持して、食事に気を付けても血糖が上がってしまう、自分のような人もいます。とても不公平感を感じますが、そんな方にお勧めなのが、難消化性デキストリンです。
目次
1.難消化性デキストリンとは?
難消化性デキストリンとは、小麦やトウモロコシなどの天然のデンプンから生まれた植物繊維です。粘りもなく、サラサラです。味も臭いもありません。色も透明で、耐熱性・耐酸性に優れています。
そのため、お茶、コーヒー、紅茶、牛乳、みそ汁、カレー、シチューなどに入れても、全く変化は感じません。米を研いで、一緒に炊いても味も香りも変わりません。
2.難消化性デキストリンの効果は?
難消化性デキストリンの植物繊維の働きで以下のような効果があります。
2-1.食後の血糖値の上昇を抑える
食事により摂取した糖質はブドウ糖に分解されてから、小腸で吸収されて肝臓に送られます。この小腸で吸収される際に、難消化性デキストリンの働きで糖分の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇をおだやかにするのです。実は、同様の働きをするものは、我々が医師が処方する糖尿病の薬にもあります。商品名でいえば、グルコバイ、ベイスンなどは同じ作用機序ですので、効果は実証済なのです。
2-2.中性脂肪を抑制して肥満予防に
中性脂肪が、エネルギーとして使い切れずに余ってしまったものは、カラダに蓄えられ肥満の原因になります。難消化性デキストリンは、血糖だけでなく中性脂肪の吸収抑制もすることで、肥満を予防します。
2-3.整腸作用
難消化性デキストリンは食物繊維の働きで、腸内細菌叢を改善することで、整腸作用もあります。その結果、便の量が増えて、排便回数も増加することが報告されています。
3.糖尿病外来の栄養指導にも効果
難消化性デキストリンは、当院の糖尿病専門外来の栄養指導でも効果を上げています。リアルタイム血糖値測定器「フリースタイルリブレ」を装着している患者さんに、食事と一緒に摂取してもらうと血糖値の上昇が抑えられるのです。
4.食前・食事中の摂取を
具体的には、お茶やお味噌汁に溶かして摂取している方が多いようです。作用機序的には、食事の前か、食事中の摂取がお薦めです。残念ながら、食後のコーヒに入れる場合は、吸収を抑制効果がなくなるのでお薦めできません。
5.まとめ
- 食後の血糖の上昇が気になる方は、食事と一緒に、難消化性デキストリンの摂取がお薦めです。
- 中性脂肪の吸収抑制の効果もあるため、肥満も予防します。
- 効果を出すためには、食前・食中に摂ることが大事です。