突然死だけはなりたくない!リスクを下げる適切な人間ドックとは

突然死だけはなりたくない!リスクを下げる適切な人間ドックとは

働き盛りの方が突然亡くなると、残された家族、職場、経営者であれば従業員までが大変困ります。それを予防するには、突然死を起こしうる疾患を想定した検診が必要です。時々、高額な検診を受けておきながら、重要な項目が抜けている方もいらっしゃいます。今回の、記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が突然死を防ぐための有効な検診や生活習慣をご紹介します。

1.突然死とは?

そもそも突然死とは、一般的な感覚では、「健康であった人が、突然死亡すること」です。

WHO(世界保健機関)では、以下のように定義しています。

瞬間的な死亡、もしくは原因となる病気を発症してから24時間以内に死亡すること」としています。 ただし、交通事故や落下事故などによる外因死は、突然死には含まない

いずれにせよ、できれば避けたい状況です。

2.検診である程度予知できる疾患

突然死の中でも、以下の疾患については、ある程度前もって知ることができます。

2-1.虚血性心疾患

虚血性心疾患とは、狭心症心筋梗塞を言います。心臓を栄養する冠動脈が突然閉塞すると心筋梗塞になり、突然死の原因となります。予防のためには、前もって冠動脈の狭窄を見つけることが重要です。そのためには心臓のMRA検査が有効です。費用も高く、施設が限られますが、それ以上の価値のあるものです。詳しくは以下の記事も参考になさってください。

2-2.くも膜下出血

頭部の血管を造影して診断するMRA

くも膜下出血は、脳の血管にできた動脈瘤という瘤が突然破れることで突然死の原因となります。予防のためには、頭部MRA検査で動脈瘤の否定が必要です。検診によっては、頭部のMRIだけでMRAが含まれていないことがあります。必ず、頭部MRAを含めるようにしましょう。ただし、あまり高齢ですと、仮に脳動脈瘤がみつかっても手術適応外になりますので、検診自体やめておいた方が無難です。以下の記事も参考になさってください。

2-3.胸・腹部大動脈瘤

胸や胸部を走行する、大動脈にこぶ(いわゆる瘤)があって、それが破裂すると突然死の原因となります。胸部XPや腹部のXPでも見つかることがありますが、できれば胸腹部のCTまで撮影しておくと安心です。

3.検診での予知が難しい疾患

残念ながら、以下の疾患は検診でも見つけることが難しい疾患です。

3-1.解離性大動脈解離

大動脈の内側の内膜に裂け目ができ、血液が流れ込むことで長軸方向に大動脈が避けることで起きます。胸や背中に激痛がおこり、いきなり意識消失状態やショック状態になって亡くなることもあります。前もって、XPやCTを撮っても異常がないことも多いため予知が難しい疾患です。


長谷川嘉哉監修の「ブレイングボード®︎」 これ1台で4種類の効果的な運動 詳しくはこちら



当ブログの更新情報を毎週配信 長谷川嘉哉のメールマガジン登録者募集中 詳しくはこちら


3-2.致死性不整脈

不整脈とは総称であり、その中には、いくつもの種類があります。中には、突然死の原因となるような不整脈もあります。検診などでは、まったく不整脈がなく、突然致死性の不整脈が生じることもあり、予知が難しい疾患です。逆に、死後解剖をしても原因が分からない場合は、致死性不整脈を疑います。

3-3.肺血栓症

身体のどこかで血の塊ができて、肺の血管を閉塞すると突然、呼吸困難や胸痛、 ときには心停止を引き起こします。長期間飛行機に乗った際に起こる、「エコノミークラス症候群」が有名ですが、健康な人が突然発症することもあり、予知が難しい疾患です。

4.検診以外で気を付けておくこと

ご紹介したように、どれだけ万全な検診をしても、突然死の原因疾患を完全に予知することはできません。そのため日常における以下のような健康管理が必要です。

4-1.生活習慣病の予防

高血圧、糖尿病、脂質代謝異常にならないようにしましょう。仮に、なった場合も適切な治療を受けることが大事です。

4-2.禁煙

「どんな検診が大事ですか?」と聞いてくる喫煙者がいます。禁煙以上に効果的なものはありません。

4-3.適切な飲酒量

飲酒は、ビールなら350㎖もしくは日本酒1合までにしましょう。

4-4.適切な体重

何歳になってもBMIは、18.5から25までにしましょう。ただし、男女ともBMIが25.0~26.9の少し太めの方がもっとも死亡率が低かったという統計調査等が挙げられていますので、上限は27まででも大丈夫です。ただし、50歳未満の方は、50歳を超えるとどうしても体重が増え気味になります。余裕をもってBMIは25以下にしておきましょう。以下で、計算をしてみてください。

4-5.適度な運動

30分程度の有酸素運動を、週に3回以上は行いましょう。適度な運動は、ほとんどの疾患の罹患率を下げます。

5.まとめ

  • 突然死の早期発見には、心臓と脳のMRAと胸腹部CTが有用です。
  • 突然死の中には、検診でも見つけられないものがあります。
  • 検診だけでなく、生活習慣の改善も大事になります。
error: Content is protected !!
長谷川嘉哉監修シリーズ