加齢に伴って減少するメラトニンが認知症の一因?・・専門医が対策を解説

加齢に伴って減少するメラトニンが認知症の一因?・・専門医が対策を解説

認知症の予防には、良質な睡眠時間の確保が大事です。睡眠を調整するメラトニンというホルモンがあります。そんな重要なメラトニンですが、睡眠だけでなくがんの発症など多様な効果が見つかっています。しかしメラトニンは、加齢とともに減少してしまいます。今回の記事では、月1000名の認知症患者を診察する、専門医長谷川嘉哉が、メラトニンについて解説するとともに、メラトニンの分泌を刺激する方法をご紹介します。

1.メラトニンとは?

メラトニンとは、体内で合成されるホルモンです。メラトニンの分泌の調整により、体内時計のリズムを整えており、濃度によって、内臓、血管、皮膚などの全身機関に、「朝だ」「夜だ」という指令を出しています。実際に、メラトニンの血中濃度を測ってみると、朝~夕方は低く、夜は昼間の10 倍以上もメラトニンの生産量が増えていることがわかります。このため、人は夜になると自然に眠くなるわけです。つまり、メラトニン量が増えたり減ったりすることで、人は睡眠と覚醒を繰り返しているのです。

2.加齢とともにメラトニンの分泌は減少

加齢により、メラトニンの分泌量は低下します。年齢的にみると、出生直後は、メラトニンの分泌は一定ではなく、これが夜泣きの原因とも考えられています。

その後、メラトニンは、10代にピークを迎えますが、それ以降急速に低下し、50代以降では10代の1/10以下になります。 自分自身もそうですが、40歳以降になるとどんなに疲れていても、朝決まった時間に起きてしまうのもメラトニン分泌量の低下が影響しています。

さらに、高齢者になるとメラトニンの分泌量が減るだけではありません。1日のなかでのメラトニンの増減にも変化が少なくなり、昼と夜の差がなくなって昼夜逆転してしまうことさえあります。

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画像出典:シルバー産業ニュース

3.睡眠障害が認知症の危険因子

たかが睡眠障害と侮ってはいけません。睡眠障害は認知症の発症とも深く関係しています。認知症のなかでも、最も頻度の多いアルツハイマー型認知症の発症には、脳の老廃物と言われるアミロイドβが関係しています。アミロイドβは、睡眠中に脳内から排出されることがわかっています。つまり、良質な睡眠が確保されないと、アミロイドβが蓄積され、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まると考えられるのです。

4.メラトニンの他の効果

メラトニンには、認知症の予防だけでなく、強力な抗酸化作用によりがんの予防、進行抑制も知られています。実際、抗がん剤治療や放射線治療の副作用を軽減し、生存率を高める効果が報告されています。その中でも、前立腺がんについてハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、以下のような報告をしています、

研究チームは、アイスランド人の男性928人のメラトニン値を測定し、平均7年間追跡し調査。その結果、期間中に111人が前立腺がんと診断され、うち24人は進行性のがんだった。メラトニンの分泌レベルが中央値よりも高い男性は、低い男性に比べ、進行性の前立腺がんを発症する割合が75%低いことが明らかになった。


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5.メラトニンの分泌を刺激するためには

このように体にとって重要なメラトニンの加齢に伴う分泌低下を予防するにはどうすればよいのでしょうか?

5-1.日中光を浴びる

光を浴びると、網膜を通じて、視神経を介して視交叉上核という部位に情報が伝わり、メラトニン分泌が抑制されます。つまり、光を浴びることで、しっかり身体が覚醒するのです。その後、14~16時間後に再び体内時計によりメラトニンが分泌されるのです。6時に起床すれば、20時から22時には眠気が誘発されることは、とても理にかなっているのです。

5-2.夜は光を浴びない

せっかく夜間に分泌をはじめたメラトニン。そこで、明るい照明を浴びたり、スマホやパソコンを見ていると、メラトニン分泌が抑制されてしまします。少なくとも、就寝時間の2時間前には、光を浴びないようにしましょう。

6.加齢に伴う睡眠障害の第一選択は?

高齢になると不眠を訴える患者さんが多くいらっしゃいます。その原因の一つが、加齢に伴うメラトニンの分泌低下です。そのため、安易に睡眠薬を投与する前に、メラトニンと同じ働きをする睡眠導入剤(商品名;ロゼレム)がお薦めです。ロゼレムはメラトニンが刺激するメラトニン受容体を刺激して、自然な睡眠を促します。そのため、依存性が少なく、副作用も少ないです。もちろん、全例にロゼレムの効果があるわけではありませんが、高齢者の場合は、最初に使ってみてほしい薬です。

7.まとめ

  • メラトニンは、睡眠に影響を及ぼすだけでなく、認知症の発症やがんの抑制にまで関わっています。
  • そんなメラトニンですが、加齢に伴い分泌量が減ってしまいます。
  • メラトニンの分泌を促すには、日中しっかり光を浴びて、夜間は光を避けることが大事です。
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