認知症患者さんの不動産売買の可否について専門医が解説

認知症患者さんの不動産売買の可否について専門医が解説

認知症専門外来をやっていると、ご家族から「認知症患者さん名義の不動産売買の可否」について質問されることがあります。認知症患者さんの名義の不動産を隣地の方が購入を希望されることが思いのほか多いのです。今回の記事は、FP資格をもって月に1000名の認知症患者さんを診察する長谷川嘉哉が解説します。

1.契約能力の可否

認知症の患者さんについては、意思能力として各人が「最低限、行為の結果を弁識するに足るだけの精神能力(だいたい7~10歳程度の精神能力)」を有することが要求されます。これ以下だと意思無能力と判断され契約は難しくなります。

2.契約が可能なMMSEレベル

MMSEと意思無能力については明確な基準はありません。しかし、現実としてMMSEが30点満点で20点以上あれば契約内容の理解は可能ですし、自分で署名も可能です。実際、司法書士さんなどの素人の方がみても認知症に気がつかないレベルです。

3.契約自体は不可能なMMSE

MMSEが30点満点で15点以下であれば、契約能力はありません。このレベルですと、署名も難しくなります。何よりも、司法書士さんなどの素人の方がみても認知症があることが分かるため契約に躊躇されることが多くなります。したがって成年後見人を立てることで契約を進めます。


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4.契約に迷うレベルのMMSE

とくに迷うレベルがMMSEが16点かあら19点の方です。かなり個人差があり、問題なく署名ができる方から、難しい方にまで分かれます。弁護士さんの立場であれば、成年後見人を立てるレベルです。しかし一度きりの土地売買のために成年後見人を付けるのも手間がかかるものです。したがって相続等でもめる可能性が低ければ契約を進めてもらうことが多いようです。

5.まとめ

  • 認知症患者さんが所有する不動産の売買で悩むご家族がいらっしゃいます。
  • MMSEが20点以上であれば契約は可能ですが、15点以下では契約は無効であり成年後見人を立てる必要があります。
  • MMSEが16点から19点のケースは迷うところですが、相続問題も検討して進めるか否かを考えます。
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