私は、ご家族を亡くされた方には、「葬祭費」の請求をするようにお伝えします。そうすると、その後「おかげさまで葬祭費をいただけました。でも、先生に教えてもらわなかったら請求していませんでした。」という言葉を頂きます。そうなんです、高齢者が亡くなった場合、多くの方が対象になる「葬祭費」については誰も教えてくれないのです。この国は、知っている人だけが得をする資本主義です。今回は、FP(ファイナンシャルプランナー)資格を持つ長谷川嘉哉が、「葬祭費」について解説します。
目次
1.葬祭費とは?
葬祭費とは、国民健康保険、後期高齢者医療保険制度に加入している方が亡くなった場合に、喪主に対して支給される給付金です。支給される額は、自治体によって異なりますが、3~5万円となります。私の経験では、5万円の自治体が多いようですが、東京23区では一律7万円です。葬祭費は、自動的にいただけるものでなく市町村役場の窓口へ申請しないと支給されません。
2.埋葬料とは?
葬祭料と似た言葉に埋葬料があります。埋葬料とは、亡くなった方が会社員で健康保険や協会けんぽに加入している場合に申請できます。支給される対象は亡くなった方に扶養されていた方になります。支給される額は、給与の1か月分が支給されます。いわゆる会社員の方が対象ですので、埋葬料の手続きは会社が行ってくれるため、支給漏れの心配は少なくなります。
3.高齢者の多くは葬祭費の対象
私の患者さんのように65歳を超えた高齢者の場合、経営者や役員でもない限り、国民健康保険もしくは後期高齢者医療保険に加入しています。したがって、殆どの方は葬祭費の対象となります。しかし、多くの方は、支給の申請をすることさえ知りません。
4.役所の受付でなぜ教えてくれないか?
高齢者の方が亡くなれば、必ず市町村の窓口に死亡届を提出に行きます。ならば、その際に窓口の方が、加入健康保険を確認して、対象であれば葬祭費の案内をすれば支給漏れはなくなります。しかし、公務員とは職業柄、サービス精神は皆無です。
そのため、私がご遺族の葬祭費についてアドバイスして、役所の窓口に出かけると、「葬祭費について、よく知っておられましたね」と逆に驚かれるようです。
5.まとめ
- 葬祭費とは、国民健康保険、後期高齢者医療保険制度に加入している方が亡くなった際に、喪主に対して支給される給付金です。
- そのため、多くの高齢者が亡くなった場合は適応になります。
- 役所が葬祭費について教えてくれることは殆どないため、多くの方が支給漏れとなっています。