国民民主党の大躍進により、公約である「年収103万円の壁の是正措置」が脚光を浴びています。所得税の非課税枠を103万円から178万円へ引き上げた場合の減税効果は、多くの国民にとっての手取りの増加につながります。一方で、「社会保険料の壁」を理由に、反対している勢力もあります。
一般の方にとっては、どちらが正しく、どちらにメリットがあるのかが分からなくなってしまいます。今回の記事では、医療介護の側面から社会保険加入のメリットについてご紹介します。国の政策にのって、老後の不安等も解消してしまう機会になれば嬉しいです。
目次
1.所得税はそれほど問題でない
年収が103万円までは税金がかかりません。103万円を超えると所得税が発生しますが、103万円を超えた分にだけ課税されるので税金はわずかです。そのため103万円を超えても、103万円以下の場合に比べ手取り額が減ることはありません。
2.社会保険加入の有無が手取りの減少に影響は大
所得税以上に影響があるのが、社会保険に関係する106万円と130万円の壁です。所得税に関する「103万円の壁」にくらべ、手取りが減ることがあるのでときに「働き控え」をする人が多くなります。
会社員らに扶養されている専業主婦(主夫)や年収の低いパート労働者は、医療や年金の社会保険料を納める必要がありません。ところが年収が106万円または130万円になると、社会保険に加入して保険料を払う義務が発生します。
従業員数51人以上の企業で働くパート労働者の場合、年収が106万円に達すると社会保険の加入義務が生じて、厚生年金保険料と健康保険料の合計で年15万円程度の負担が発生します。まさに余分に働いて手取りが減ってしまうのです。
加入前よりも手取りを増やすためには年収約125万円になるまで働く必要があります。従業員が51人未満の企業で働いている人も年収が130万円に達するまで社会保険料を払う必要がありませんが、今後の年金制度改正では51人以上という従業員数の要件を撤廃する方向ですから、従業員が50人以下の企業も同様の条件になる方向です。
3.目先の手取りの減少を気にせず社会保険加入を
可能であれば、年収125万円をこえるまで働いて、手取りが減ることなく社会保険にも加入することをお薦めします。何しろ以下のようなメリットがあるからです。
3-1.夫婦それぞれが自身の年金を作るメリット
医療の現場では、専業主婦つまり社会保険に加入せず国民年金のみの配偶者の対応に困ることがあります。通常、ご主人が厚生年金であれば夫婦二人で長生きをしても良いのですが、双方が要介護状態になると、国民年金だけの配偶者は満足な施設選択ができなくなります。
人によっては遺族年金を当てにされる方もいらっしゃいますが、思いのほか遺族年金は受け取れないものです。そのため、夫婦それぞれが自身の年金を作ることが大事なのです。以下の記事も参考になさってください。
3-2.障害がある状態になった場合のメリット
年金は老齢年金だけの目的ではありません。障害を負った際の、障害年金のためにも加入するのです。その際に、扶養されている専業主婦(主夫)や年収の低いパート労働者で社会保険に加入していなければ、僅かな障害基礎年金しかうけとれません。
3-3.医療保険(健康保険)の給付のメリット
健康保険に加入していると、病気やけが、出産などで仕事を休まなければならない場合には、傷病手当金や出産手当金として、給与の3分の2程度の給付を受け取ることができます。これも社会保険に加入していなければ一銭も出ません。私の経験でも、パートから常勤になって社会保険加入したとたん乳癌がみつかり、傷病手当の恩恵を受けてとても感謝されました
3-4会社が保険料の半分してくれるメリット
このような多くのメリットを受けるための保険料の半分を会社が負担してもらえることも忘れてはいけません
4.まとめ
- 所得税以上に影響があるのが、社会保険に関係する106万円と130万円の壁です。
- 社会保険加入には、多くのメリットがあるので加入がお薦めです
- 手取りを減らさないためにも年収125万円は超えたいものです。