新型コロナ感染症拡大により、売上の大幅な減少をした事業者に対して、事業を継続するために事業全般に使える給付金、いわゆる持続化給付金制度があります。
制度自体の対象は、「資本金10億円以上の大企業を除く、中小法人等を対象とし医療法人、農業法人、NPO法人など、会社以外の法人」について幅広く対象となります。さらに、フリーランスを含む個人事業者も対象となります。
しかし、給付対象者の要件が、「2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月が存在すること」が基準を満たさないために、申請を断念している方がいらっしゃいます。
ところが、ちょっとした勘違いで本当は要件を満たしているのに、申請をされていない方がいらっしゃるので注意が必要です。不正により、持続化給付金を受けとることは許されません。しかし、正しい解釈に基づくことは、不正ではありません。以下に、実例をご紹介します。
目次
1.売上は発生主義
これはフリーランスの方の例です。「令和2年4月の仕事は、全くゼロだけれど、以前の仕事に対する入金が4月にあったので申請ができません」とのこと。会計の原則は、「発生主義」です。4月の入金があっても、これは4月の売上ではありません。その旨お話ししたところ、4月の売上をゼロとして無事申請をされました。
2.売上は実体が大事
これはコンサルティング経営者の方です。「令和2年3月は、全く仕事ができなかったけれども、コンサルフィーを3月に受け取ったので、事業収入が50%以上減少しなかった」とのこと。会計の原則は、「実体」が重要です。3月に受け取ったコンサルフィーに対する仕事をしていなければ売上ではありません。この方も、お話ししたところ3月の売上を実態に合わせることで無事申請されました。
3.家賃減免は月を揃えて
これは、不動産賃貸業の方です。数件のテナントから家賃の減免をお願いされており、受け入れる予定とのこと。依頼された時期がバラバラであったのですが、減免する月を揃えさせていただくことで、事業収入が50%以上減少。その結果、持続化給付金を申請し、減免の一部を補うことができました。
4.2020年3月までに創業した事業者も対象
給付の要件が、前年同月比との比較でしたので、創業1年未満の方は対象外でした。しかし、令和2年5月22日に、「2020年3月までに創業した事業者も持続化給付金の対象にする」と発表されました。
条件は以下です。
- 2020年1月から3月末までに創業した事業者
- 新型コロナウイルスの感染拡大により、任意の月の事業収入が、1~3月のまでの平均売上高より50%以上減少している。
5.持続化給付金は課税対象
歯科医の先生方に多いのですが、ある月を無理やり、「前年同月比で事業収入が50%以上の減少」にする方がいらっしゃいます。持続化給付金には、税金がかかります。従って、ある月を無理やり50%減にしても全体で利益が出ていれば、一定額は税金に変わるだけです。
6.家賃支援給付金も合わせればかなり魅力
持続化給付金の給付要件を満たすと、同時に家賃支援給付金の基準も満たします。この場合、地代・家賃が75万円までは3分の2、75万円から225万円までは3分の1の上限100万円までの家賃が6か月補助されます。持続化給付金に加えて家賃支援給付金も受けられれば、課税対象であっても魅力です。
詳細は、以下のサイトを参考になさってください。
7.まとめ
- 本当は対前年比で売上が50%以上落ちているのに、持続化給付金をもらい忘れている方がいらっしゃいます。
- 令和2年5月22日からは、創業1年未満の方も対象となりました。
- 持続化給付金に、家賃支援給付金も受けられればかなり魅力な制度です。