平成27年8月から介護保険制度の利用者負担の仕組みが変わりました。負担能力があるかどうかを詳細に調べ、「能力あり」と判断された人の負担を増やす方針です。その一つが先回紹介した“65歳以上の所得上位20%が、介護保険の利用料負担2割!”です。
今回、 もう一つ注目しなければならないのは、特別養護老人ホームや老人保健施設などの利用者に対する補助基準の見直しです。従来は所得だけが基準で、所得が少なく住民税がかかっていない世帯であれば補助を受けることができました。それが、今回の見直しによって預貯金や有価証券などの資産額を調べることになったのです。具体的には、配偶者がいる人の場合、資産の合計金額が2000万円を超えていれば補助の対象から外されます。配偶者がいない人なら1000万円が基準です。
さてこの貯金の範囲ですが、預貯金、金・銀、タンス預金、マイナスの資産として負債が含まれます。逆に、資産に含まれないものは、生命保険、自動車資産、自宅不動産、絵画骨董です。いずれも、あくまで自己申告です。介護保険課の職員にそこまで調べる能力・権限・意欲があるとも思えません。タンス預金を防ぐために通帳のコピーも3か月前のコピーを提出させるようですが、提出する口座をごまかせば済むだけです。
但し、一応罰則が規定されています。不正の行為を行った場合は、不正に受給した額の1倍以下の加算金、悪質な場合は2倍以下の加算金です。不正分の返金も含めると3倍という厳しいものです。ただし、それ以前に見つかる可能性が低いような気がします。自分の知識でも、1000万の貯金を、終身の生命保険に変えれば、合法的にクリアできてしまいます。ただ今回の一連の流れは国が、所得だけでなく資産も厳密に把握していくという前兆であることは間違いないようです。