ベターでなくベストな経営者のための保険・本当に意味のある保険加入7つのポイント

ベターでなくベストな経営者のための保険・本当に意味のある保険加入7つのポイント

世の中には保険の募集人は、営業職員と代理店を合わせて100万人いると言われています。彼らは、保険を売ることで生計を立てています。一方、経営者が加入する法人保険は個人に比べ高額になります。そのため、経営者のもとには、多くの保険営業マンが訪れます。口先では、「社長のため、理事長先生のため」と言いながら、結局は保険を売りたいのです。保険加入は、経営上の有効な戦術の一つです。しかし、間違った保険加入をすると経営状況を悪化させることにもつながります。

今回の、記事では、FP資格をもつ認知症専門医として、1万人以上の保険営業マンに講演を行った長谷川嘉哉が経営者が加入するべき保険の7つのポイントを紹介します。

1.経営者保険とは?

通常、個人の方は、個人で保険に加入して、万が一の場合は個人で保険金等を受け取ります。経営者保険とは、法人が、経営者を被保険者として加入する保険です。主に以下の目的で加入します。

1-1.保障

Sad elderly man sits in the wheelchair
重篤な後遺症が残って働けなくなっても、保険金がおりないことが多いです

経営者が病気になったり、入院したり、さらには死亡した場合などは、法人に多大な影響を与えます。売上げが減ったり、利益が激減することさえあります。そんなときの、資金確保のために加入します。しかし、私が専門医の立場で保険を見させていただくと、死亡した際の保障は十分でも、死なない程度に生き残って後遺症を残した場合の保障が不十分なことが多いようです。ある意味、ベターであってもベストの保険加入がされていないのです。詳しくは、以下の記事も参考なさってください。

1-2.節税

保険の種類によっては、全額もしくは、一部が法人の経費となり、節税効果があります。しかし、過剰な節税は、資金繰りを悪化させてしまいます。資金繰りから考えて、どの程度の資金を保険に使えるかを知る必要があります。そのためには、保険に加入する前に、決算書を見る必要があります。しかし保険販売員が、決算書を見ることは殆どありません。結果として、「節税のため」という名目で保険販売員の言いなりのまま高額な保険に加入し、資金繰りが悪化して「保険貧乏」になっている法人も多いのです。

1-3.退職金

経営者も年を取れば引退します。その際には、老後の生活のために退職金が必要です。といっても、退職時に法人に原資がなければ支払うことができません。そのために保険を利用します。在職中に死亡すれば保険金を死亡退職金として支給し、無事に退職を迎えれば解約返戻金を退職金の原資とします。

2.経営者保険はどこから加入?

経営者保険は、大きく分けて以下の2つから加入します。

2-1.生命保険会社

一つの生命保険の営業マンから加入します。経営者保険では、プルデンシャル生命やソニー生命などが有名です。これらの会社では、ライフプランナーという肩書の営業マンが経営者保険を得意としています。彼らの多くは、幅広い知識をもつだけでなく、人格的にも優れています。しかし、彼らの売る保険は、ベターですがベストではありません。理由については。3章で説明します。

2-2.保険代理店

保険代理店とは、保険会社と顧客の間にはいって、保険を販売します。取り扱っている保険会社が数社になっています。そのため、顧客に合った保険会社の商品を提案することができます。但し、時に、顧客を軽視する代理店もあるので注意が必要です。理由については4章で説明します。

3.生命保険会社からの加入は、ベターだがベストでない理由

お医者さんの中には、「自分は保険はすべて、○○生命保険に任せているから大丈夫」と自信満々の方が多くいらっしゃいます。しかし、残念ながら保険会社一社から加入した保険は、ベターですがベストではありません。理由をご紹介します。

3-1.商品が限定される

保険の商品には、本当に多くの種類があります。その中から、加入者のニーズに合った商品を選ぶ必要があります。保険会社一社ですべての保険商品を網羅することはできません。しかし、保険会社の営業マンは、「自社の保険がベスト」と思って商品を勧めます。実は、他社にもっと良い保険があるのかもしれないのです。しかし、保険会社一社に限定してしまうと、その保険を知ることさえできないのです。


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3-2.合い見積もりができない

皆さんは、車を購入する際には、販売店毎で相見積もりを取りませんか? 実は、保険加入の際にも、「相見積」が必要です。例えば、「死亡時に5000万の保障」といった条件の保険でも、保険会社によって保険料はかなり違います。保険加入においては、同条件で最も保険料の安い保険に入るべきなのです。

3-3.保険を払いたくないプロとの直接交渉があるかも

保険は、何かあった際に、保険料を払ってもらうことが最も重要です。多くの場合は、すんなりと支払われるのですが、ときに保険会社独自の要件を満たすか否かで、見解が分かれることがあります。その際に、加入者は、保険会社と直接交渉をする必要が出てきます。その際は、まさに「保険を払いたくないプロと保険を払ってほしいアマチュア」との戦いになります。代理店からの加入であれば、間に入って保険会社と交渉をしてくれることも期待できます。

4.代理店でも注意が必要なことも

ならば、経営者保険はすべて代理店経由で加入すれば問題ないかといえば、そうでない点もあります。せっかく色々な商品があっても、加入者に適切な提案ができないレベルの低い代理店もあります。何しろ、経営者保険は、税務、相続、決算書と幅広い知識が要求されます。代理店と言っても、ある程度の規模で、組織的に情報を集めていなければ太刀打ちができないのです。

さらに、保険会社によって、代理店が受け取る手数料には差があります。代理店によっては、加入者の利益よりも、手数料の高い保険を売っている代理店もあります。私が経験したケースでは、加入者の年齢・家族構成・要望に関わらず殆ど同じ保険を売っていた代理店もありました。そのあげく、SNSに「保険会社による表彰で海外に来ています」などとの投稿をしているのです。

5.税理士からの紹介が無難?

ならば、どのように保険加入すればよいのでしょうか? 一つには、自分の顧問税理士に紹介いただいた代理店から加入が無難かもしれません。税理士さんからの紹介のメリットとしては、

  • 決算書のキャッシュフローから、どの程度の保険に加入できるかがわかる
  • 税理士さんからの紹介のため、代理店もあまりひどい提案はしない

ただし、税理士さんの中にも、代理店さんから紹介料だけもらって保険の内容には不勉強な方もいらしゃします。やはり、すべてを人任せにしないで、自ら経営者保険の勉強をするべきです。何しろ経営者保険は、経営戦術の一つなのです。経営者保険の勉強にお薦めな本を紹介します。私はこの本に感激して、著者である亀甲美智博さんに直接連絡をとって、お会いさせていただいたほどです。

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オーナー社長の戦略的生命保険活用術 [改訂版] (日本語) 単行本(Amazon紹介ページ

6.保険の第一の目的は保障であることを忘れてはいけない

経営者保険を検討すると、節税や退職金目的などがメインとなってしまいます。しかし、忘れてはいけないことは、保険の第一の目的は保障です。健康な時は、当たり前のように働くことで収入を得て生活を支えています。しかし、病気やけがで働けなくなったときはどうなるのでしょうか? 正直、死亡してしまった場合は、生命保険、住宅ローンの免除、遺族年金などで何とかなるものです。しかし、死なない程度に生き残って、「事故で障害が残り仕事が続けられない」、「寝たきりになって、介護が必要」、「病気が悪化し退職せざるを得ない」状態になると節税や退職金どころではありません。

この視点が、多くの保険営業マンに欠けているのです。特に、脳血管障害で片麻痺になったときの保障は、相当漏れています。残念ながら、世の中の殆どの保険が、片麻痺は保障の対象外です。これに対応している保険は、私が調べ尽くした中で、ソニー生命と富士生命にしかないのです。経営者の方には、全てに優先して、この保険を勧めています。詳しくは、以下の記事を参考になさってください。題名には、歯医者さんと書いてありますが、一般の方にも参考になります。

7.まとめ

  • ベストな経営者保険に加入するには、保険会社から直接でなく、信頼のおける代理店からの加入が必須です。
  • 経営者保険の目的は、節税・退職金よりも保障が第一です。
  • 経営者保険は、経営戦術の重要な一つです。自ら、勉強する必要があります。
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