介護職員処遇改善支援補助金では、給与を9000円も上げられない理由

介護職員処遇改善支援補助金では、給与を9000円も上げられない理由

岸田文雄首相が、国会等で「2022年2月から介護職員に対して月額9000円程度の賃上げ」をすると大々的にアナウンスしました。そのうえ、「事業者が原資を全て賃上げに充てたかどうか確かめる意向を示した。」とまで言っています。

政治家は言葉を発すれば良いだけですが、現場の役所の方は大変です。何しろ、2022年2月から行えと言っても時間がありません。ようやく2022年1月27日にその概要が県から届きました。そこから2月の給与に反映させることは至難の業です。

そして内容を見て驚きました。9000円の給与のアップは不可能です。そもそも9000円の根拠自体があいまいです。

今回の介護職員処遇改善支援補助金は介護サービスごとに交付率に0.5%から2.1%と差があります。事業所は介護サービスに応じて補助金が交付されますが、その額を職員の数で割る必要があります。

したがって職員の数が少なければ一人当たりの賃上げ額は多くなります。9000円の根拠は、もっとも交付率が高いサービスで、介護保険の人員基準で割った額が9000円になるとのことです。

人員基準とは最低限の人数であり、それでは現場は回りません。そのため現実には、人員基準以上の人数を雇用しているのです。そのためブレイングループの中でも、交付率が2.0%のグループホームでさえ、せいぜい月額6000円の賃上げが限界です。交付率が1.0%のデイサービスでは、スタッフも基準よりかなり多いため、月額2000円の賃上げができるか否かのレベルです。


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本当に、口だけの政治家と、その言葉を安易に伝えるマスコミには困ったものです。逆に、「介護職員に対して9000円の賃上げができるに足る十分な補助金を出したか」を確かめたい思いです。

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