著者の佐古田三郎先生は、元大阪大学神経内科の教授でした。つまり、医療の最先端にいらっしゃった先生です。そんな先生が行き着いた先は、病気を「モノ」(部分)ではなく「コト」(全体)と考え、食事・運動・休息などを過不足なくとることが基本と言われています。どうしても病気だけを見てしまう現代医療が忘れがちになっていることがよく理解できる本です。これは、お薦めです。
- 病気になったからといって病気を治すことばかりに集中せず、広く自分の日常生活を見渡し、問題があるところを少しずつ手直ししていく、じつはそれが治癒の近道であることを知るべき
- ガン、リウマチなどの自己免疫疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病なども食事と関わりがあることがわかってきました
- アルツハイマー病のような認知症では、インスリン抵抗性が増すような砂糖などの糖質の過剰摂取は危険
- 肉体はもちろん、精神的な病や性格も食と関係してくる
- 少食にすると、 動作 緩慢 などパーキンソン病特有の症状や、不整脈、 流涎(よだれが流れること)が改善するなどの効果が現れます。おそらく、アルツハイマー病などによる認知機能の改善も期待できる
- 日常食として患者さんにすすめているのは、昔ながらの日本食です。具体的に言えば、野菜や果物などの植物を毎日の献立に上手に取り入れること、発酵食を活用すること
- 睡眠時間だけではなく、「睡眠の質=いかに深い眠りができるか?」も健康の維持には大変重要
- 養生とは、文字通り「生命を養う」ことを指し、食事・運動・休息などを過不足なくとり、日常生活をつつがなく送ることがその基本
- 光を浴びること、規則正しく食べて、寝ること、菌と共生する
- 日内リズムについては約 24・5時間にセットされていますから、放っておくと少しずつズレが生じ、やがては体の中で昼夜が逆転してしまいます。そのため私たちの体は、朝起きて日の光を浴びることでリズムのズレをリセットする
- 3食をしっかりとったほうがいいと考える人もいますが、私はとりわけ年配の人には2食をすすめています。
- 臓器は日中には摂取した栄養素からエネルギーをつくるために働き、夜になるとこうした代謝の過程で生じた老廃物を排出させるために働くようにできている
- 食事のリズムを取り戻すため、私が病院に入院する患者さんにすすめているのは、一日800キロカロリー程度の「少食療法」です。
- 眠れない人は日中の生活のどこかに問題があるはずなので、それをまず是正することが大切です。 「睡眠はあなたの主治医です」と言っていいくらい、眠ることには多くの病気を改善させる大事なポイントがある
- 植物は免疫細胞が備わっていない代わりに、こうした自らが作り出す活性成分で身を守っている
- 私たちが植物(野菜や果物)を食べるということは、植物を生き延びさせてきた力、生命力をいただくということ
- カロリーでお腹が満たせたとしても、元気にはなれないということです。食べ物はプロセスも含めて栄養になる
- ファイトケミカルは、自然界に1万種類ほど存在していると言われ、私たちの体の中で外敵から身を守る防御スクリーンのように機能しています。一つ一つに強力な働きはありませんから、体を防御する場合、100種類くらいのポリフェノールを使ってスクリーンを張りめぐらせるイメージでしょう。 菌を殺してしまう抗生物質のような強い力ではなく、もっと優しい力で私たちの体を守ってくれている
- 大事なのは「多様な菌と共生する」
- 様な菌とつきあっていくには、菌たちのエサになる様々な野菜、果物、海藻を食事の中に取り入れていくことが大事になります。 効果効能が 謳われている特定の菌に注目するだけでは、薬と大した違いがありません。
- 腸には100兆もの細菌が棲息していると述べてきましたが、これらの菌の遺伝情報の合計は人の遺伝子の100倍にのぼると言われています。また、腸には脊髄と同じ程度の5億ほどの神経細胞が存在している