【お薦め本の紹介】うまく老いる・楽しげに90歳の壁を乗り越えるコツ

【お薦め本の紹介】うまく老いる・楽しげに90歳の壁を乗り越えるコツ

私自身、高齢者医療に携わっていると、大学病院や基幹病院の外来では限界があることに気が付きます。その点を、92歳のバリバリの高齢者である樋口恵子さんと、高齢者医療の専門家といえる和田秀樹さんが、対談形式で分かりやすく説明してくれています。

  • 通常の医者が考えるように、検査データを正常にしたら元気で長生きできるなどということはほとんど 噓 に近いことがわかった
  • 人間は高齢になればなるほど、医者ができることは限られ、いわゆる福祉の力に支えられながら生きていくようになる
  • がんというのは、高齢になれば増えていきます。 80 代、 90 代でがん検診を受ければ、かなりの確率でがんは見つかります。
  • 65 歳男性の平均余命は 16・5年の 81・5歳。そのうち、自立している期間が 80・0歳までとなり、自立できなくなった期間が1・5年でした。 65 歳女性では、平均余命は 22・6年の 87・6歳、自立している期間が 84・3歳まで、自立できなくなった期間は3・3年でした。
  • 男性 80・0歳、女性 84・3歳までは要介護2未満で、ある程度自分のことは自分でできるということ。これは、厚労省の「健康寿命」とは大きな開きがあります。私はこちらのほうが、実態に近い「健康寿命」ではないかと考えています。
  • 現実はピンピンとコロリのあいだにヨタヘロ期
  • 最も大事なことなんですが、ヨタヘロしていても、モノやサービスを賢く活用しながら、自分らしく生活していくことができるということなんです。
  • 老いの長い時期をできるだけ元気にすごすには、 70 代の「老いと闘う時期」と、 80 代以降の「老いを受け入れる時期」という二段構えで考えるのがいい
  • 高齢者をほとんど診たことがないような医者の言うことを聞くよりも、大勢の人が、老いと向き合って生きている人の話を参考にしたい
  • 年をとってむしろ毎日が楽しく充実していると感じられ、幸せを感じて生きておられる人を「幸齢者」と名づけました。
  • 年をとっても元気でいるために、筋力の低下や認知機能の低下を何とかして防ごうとする方が多いと思いますが、それよりも先に衰えるのが、意欲
  • 前頭葉が衰えてくると、気づかないうちにある行動パターンに陥ります。
  • 前頭葉を鍛えるには、僕は次のような習慣や頭の使い方をするのがいいと思っています。 和田流1 ものごとを両面から考える和田流2 自分の考えを言葉で表現する 和田流3 いつもと違うことにチャレンジする
  • 樋口流・意欲を低下させない他力本願作戦 樋口流1 人に誘われたら、エイヤッと受ける 樋口流2 億劫でも予定を入れる 樋口流3 おしゃれで心をウキウキさせる
  • 日本はそもそも前頭葉不全社会 前頭葉を使っていない人のほうが社会的に評価されやすい
  • うつはいつから始まったというのを「ああ、あのころから」と、ご本人やご家族が気づいていることが多い。樋口さんの場合もそうでしたね。一方、多くの認知症は、いつ症状が始まったかはっきりしません。
  • セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、幸福感を高め、免疫力を上げる効果があります。セロトニンは食べ物からもとることができます。私は、特に高齢になったら肉を食べることをおすすめしています。
  • 女性ホルモンは、男性ホルモンのテストステロンをもとにして作られているのです。女性ホルモンの産生が低下した更年期以降も、健康やいきいきした生活には不可欠なホルモンなのです。
  • 気持ちを明るくするためにおすすめしたいのが日中の散歩です。セロトニンは強い光を浴びることで作られます。
  • セロトニンは、夜になると、睡眠をうながすメラトニンという物質に変化します。メラトニンが増えることで、自然に睡眠へと移行できるのです。
  • 患者さんが会いに行くのが楽しみになるような医者でしょうね。安心感を与えてくれたり、元気にしてくれる医者です。
  • 初診のときくらいは、病気のことだけじゃなくて、家族構成やこれまでの病気のことなどを聞いてくれる医者がいいですね。
  • 待合室の患者さんが元気だということは、医者が患者を元気づける能力が高く、薬の量などもちょうどいい治療が行われているという証拠です。
  • 僕はあんまり患者さんに要求するほうじゃないですが、唯一要求することがあるとしたら、なるべくいい補聴器をつけてくださいっていうこと
  • 高齢になったら「引き算」より元気の素を足す
  • 塩分とか、脂肪分とか、病気のリスクになるものを「引き算」するのではなく、栄養や運動といった元気になるものを「足し算」するんです。
  • 日本人を長寿にしたのは「医療」より「栄養」。
  • 昔は、タンパク質の摂取量が少なくて、血管がもろかった。前にも言ったように血圧150くらいで脳の血管が破れて脳卒中になる人が多かったのです。
  • 先進国でがん死が増えているのは日本だけ
  • がんを減らすには、免疫力が大事です。免疫力を上げるためには、ストレスを減らしたり、楽しんだり、笑ったりすることがいいんです。日本人は禁欲的にしていると長生きできると思っているところがありますが、実は禁欲的なのは免疫力を下げてしまっているので、結果的にがんで死ぬ人が増加する理由になっているのだと思います。
  • 調理は、いろんな作業を同時並行ですすめるため、脳にはいい刺激を与えてくれるので、できるうちは続けたほうがいい。
  • 命を支えていくうえで、3つの「しょく」が大切だと私は思っています。1つは「食」。生きているかぎり、食べることから引退できないですものね。2つ目は「触」、つまり、ふれあい、人とのつながりです。そして、3つ目が「職」。
  • 僕は結婚も二毛作があってもいいと思います。熟年離婚が増えるなか、子育てをする結婚と、老後を一緒に楽しめるパートナーとの結婚というような二毛作の結婚観が普及すれば、高齢期の楽しみが増えると思っています。
  • 2005年ぐらいに始まったメタボ対策では、高齢者に栄養をなるべくとらせないようにして、6~8年寿命を縮めようとしています。
  • 幸せそうな高齢者は、社会に迎合せず、わがままと言われても、自分らしく自由に生きています。同時に、人とのつながりを大切にし、社会のことも考えている。
  • 何より、世の中が平和でなければ、高齢者と言われる年齢まで生きることすらできません。高齢者は平和の証なのです。今、ウクライナやパレスチナのガザ地区などでは、尊い命が犠牲になっています。長生きしたくてもできなかった人たちがいることを、心に刻みたいと思っています。
Amazon紹介ページ

 

error: Content is protected !!
長谷川嘉哉監修シリーズ