脳血流をイメージして、認知症新薬を選択する!

平成24年4月28日(土)、プリンスパークタワー東京で全国の認知症の専門医が30名ほど集まって研究会が開かれました。

認知症の新薬が出て1年近く経ち、当初思っていた以上にそれぞれに特徴を持つことが分かってきました。

私が先日の読売新聞の取材でお話した、メマリーやリバスタッチパッチ/イクセロンパッチの著効例は、全国でも報告されているようです。

従来のアリセプトに加えた、3種類の新薬の使い分けは、 “患者さんの症状から、脳血流の異常をイメージし、それを改善する薬を選択する”につきます。

まず、コリンエステラーゼ阻害薬の3種類の特徴ですが、

①     リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ:大脳皮質、特に前頭葉の血流を著明に改善します。

       したがって、認知症の末期像の患者さんに使用して、言葉が出たような症例が全国で報告されていました。

      私が、経験した症例も、殆ど言葉も出なかった症例でしたが、最近は会話が成り立っています。

②     レミニール:やはり脳幹の血流の改善が著明です。

        うつ傾向が強い患者さんには第一選択になります。

③     アリセプト:脳全体で万遍く、緩やかに血流を増やします。

         ある意味、バランスが良いと言えます。

但し、アリセプトを使用しても、効果なく進行するケースでは、アリセプトを増量するのはなく、レミニールやリバスタッチパッチ/イクセロンパッチに変更することが推奨されます。

一方、NMDA受容体拮抗薬のメマリーは、脳幹の血流を抑えます。


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つまり、周辺症状等で攻撃性が強い方には著明な効果を示す根拠ともいえます。

実際、研究会の中でも“認知症の進行予防”というより、“周辺症状コントロール”のための薬という意見が多かったです。

血流から見ても、レミニールの著効例と、メマリー著効例は相反する可能性が意見されていました。

以上のように、現在の認知症の治療は、アリセプトを出しておけば済むようなものではありません。

やはり、患者さんの症状から脳血流がイメージする必要があります。

認知症サポート医制度も奨励されていますが、これなどある意味、“医師が認知症専門医ではなく付け焼刃的な知識を持った”という証明にしかなりません。

患者さん自身は、できるだけ地域での情報・評判を集めて、認知症専門医を受診されることをお勧めします。

ところで、私が2年前に出版した“患者さんと家族のための認知症の本”の改訂版が決定しました。

主に新薬の情報を16ページ分加筆させていただきました。

現在、本が増刷される確率は25%程度と言われています。

今回の改訂版で実質的な4刷になります。

          

多くの方々に感謝します。

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